笠りつ子がみそぎ優勝「悲しい思いをさせてしまった家族、先輩、周りの方々に優勝を伝えたい」


通算12アンダーで優勝し、笑顔の笠りつ子(カメラ・小泉 洋樹)

通算12アンダーで優勝し、笑顔の笠りつ子(カメラ・小泉 洋樹)

◆女子プロゴルフツアー ヨネックスレディス 最終日(6日、新潟・ヨネックスCC=6435ヤード、パー72)

 第1日から首位の笠りつ子(33)=京セラ=が3バーディー、ボギーなしの69で回り、通算12アンダーで完全優勝した。ツアー史上10人目のボギーなし優勝。2016年のニトリレディス以来5年ぶりの通算6勝目で、19年に起こした大会関係者への不適切発言後の初Vとなり応援を続けてくれた人々に感謝した。1打差2位は三ケ島かな(24)=ランテック=。

 1年8か月の苦しい日々と重なる試練の勝利だった。入れれば優勝、外せばプレーオフ。笠は約4メートルのバーディーパットをねじ込んで勝ち切った。初日から首位の完全V。ツアー史上10人目のボギーなし優勝。盤石の勝利に見える一方、三ケ島の追い上げを1打差で振り切る辛勝だった。「あっぷあっぷでした」とホッとした表情で激闘を振り返った。

 19年10月、試合会場で大会関係者に不適切な発言をし、騒動を起こした。その後、謝罪したが、影響は大きく「ゴルフをやめようと思った」と引退も考えた。

 周囲の励ましによって、再びゴルフに向き合った時「強く優しい女性になりたい」と心から誓った。5年ぶりの6勝目。騒動後としては初Vで「たくさんの人が応援してくれた。暴言の後も(契約を)切ることなく、続けてくれたスポンサーさんに感謝します。悲しい思いをさせてしまった家族、先輩、周りの方々に優勝を伝えたい」と気持ちを込めて話した。

 笠は十分に社会的制裁を受けた。それから逃げることなく、乗り越え、勝った。人は失敗しても、やり直せることを33歳のプロゴルファーは証明した。(竹内 達朗)

 ◆笠りつ子の不適切発言騒動 19年10月24~27日に開催された試合会場で、大会関係者に不適切な言葉を浴びせた。大会側はこれまでクラブハウスの浴室にタオルを常備していたが、なくなることが多くなり、常設を中止。理由説明を求めた際に不適切な発言をした。同10月31日に「お詫(わ)びと今後の活動についてのご報告」と題した直筆の文面で当面のツアー出場自粛を発表。同11月19日に試合会場で涙ながらに謝罪した。同12月9~11日、新人セミナーに参加。20年6月のアース・モンダミンカップでツアーに復帰し、28位。

 ◆笠 りつ子(りゅう・りつこ)1987年11月4日、熊本・菊陽町生まれ。33歳。ゴルフ練習場を経営する父・清也さんの影響で9歳からゴルフを始める。2006年に東海大二高(現・東海大熊本星翔高)を卒業、同年のプロテストに一発合格。10年に初シード獲得。11年ニトリレディスで初優勝。16年には日本人最上位となる賞金ランク3位。現在の今季賞金ランクは18位。160センチ、58キロ。

 ◆笠の優勝用具 ▽1W=キャロウェイ・エピックフラッシュサブゼロ(ロフト角10・5度、シャフト硬さSR)▽3W=プロギア・RS▽7W=本間・ツアーワールドTW737FW▽UT=本間・ツアーワールドTW737UT▽5~9I、PW=ツアーワールドTW737P▽ウェッジ47度、52度、57度=本間・ツアーワールドTW―W▽パター=キャロウェイ・オデッセイホワイトホットOG♯1▽ボール=タイトリスト・プロV1X

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