◆男子プロゴルフツアー 海外メジャー第３戦 全米オープン 最終日（２０日、米カリフォルニア州・トーリーパインズＧＣ＝７６５２ヤード、パー７１）
マスターズ王者・松山英樹（２９）＝ＬＥＸＵＳ＝は５４位から４バーディー、１ボギーの６８、星野陸也（２５）＝フリー＝は３１位から３バーディー、１ボギー、１ダブルボギーの７１で、ともに通算３オーバーの２６位で終えた。２人は大会後の世界ランキングで東京五輪出場権を獲得。松山が目標とする金メダル獲得のポイントなどを五輪ゴルフ競技対策本部の倉本昌弘・強化委員長（６５）が語った。６位で出たジョン・ラーム（２６）＝スペイン＝が通算６アンダーで、メジャー初優勝を飾った。
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リオ五輪以降の５年間、松山は一度も日本男子１番手の座を譲らず東京五輪切符を手にした。この日は「（五輪も）普通の試合の一つ」と話すにとどめたが、４月のマスターズ優勝後の帰国会見では「無事開催されたら、金メダルを目指して頑張りたい」と表明。ゴルフ競技で日本勢初のメダルへ強い意欲を秘めている。
倉本強化委員長は「今年は松山君、笹生さんが海外メジャーで勝ち、日本にゴルフブームが起こり始めている。東京五輪でメダルが取れると、もっともっと盛り上がる」と日本のエースに大きな期待を寄せ、メダル獲得へのポイントを挙げた。
〈１〉少ないライバル ２０日付の世界ランクをもとに各国・地域原則２人（世界ランク１５位以内は４人）までが五輪出場権を得た。数字上１５６人が出場するメジャーよりも、６０人参加の五輪の方が勝つ確率が高い。その上で倉本氏は「強豪の米国男子も世界ランク上位４人しか出られない。五輪の特殊な選手選考ですが松山君には優位」と断言。過密日程などを理由に不参加を表明したトップ選手がいることも追い風だ。
〈２〉高い総合力 １１２年ぶりに復活した１６年リオ五輪では、男女ともメジャー覇者が優勝。やはり大舞台で力を発揮できる選手が有利で、「マスターズを勝った松山君には、どのコースでも対応できる高い総合力がある。ショットの精度は世界屈指でパット次第」とＶ候補に挙げた。
〈３〉地の利 松山にとってはマスターズ優勝後、初の凱旋（がいせん）試合。霞ケ関ＣＣは０９年日本ジュニアを制し、１０年アジア・アマチュア選手権優勝で、翌年のマスターズ初切符をつかんだ思い出の会場だ。「改修されて素晴らしい状態で仕上がっている。松山君にはちょうどよい距離。改修後、何度も練習もして、地の利もある。ぜひ観客も入れてほしい」と倉本氏は語った。
メダル獲得へのカギは「五輪は３位以内にしか目標を置きにくいので出遅れると難しい。初日、２日目が大事」と分析した。星野についても「アイアンの精度もあっていろんな球を打てる。“台風の目”になるかもしれない」と評価。自国開催の五輪で、日本勢の表彰台は夢ではない。（榎本 友一）
◆米国勢４人が最大のライバルに
東京五輪男子ゴルフで日本勢の最大のライバルは、世界最高峰のツアーで実績十分な米国勢４人だ。２０１７年全米プロ選手権王者のトーマス、昨年の全米プロ選手権覇者で日本人の父を持つモリカワ。圧倒的な飛距離を備える２０年全米オープン王者のデシャンボー、母が日本育ちで安定感抜群のシャウフェレ。意外にも過去の五輪３大会で米男子の金メダルはなく、悲願達成への機運も高まっている。
欧州勢では、全米オープンを制し世界ランク１位に復帰したラームが今季好調。メジャー４勝のマキロイは実績では出場予定の全選手でトップとなる。その他、１０年全英オープン覇者のウェストへーゼン（南アフリカ）が今年の全米プロ＆全米オープン２位など怖い存在。三浦技研と米男子ツアー選手で初めて用具契約したメキシコのアンサーは大舞台で抜群の安定感を誇る。韓国の任は日本ツアーでも活躍しており、日本のコースを熟知している。