◆米男子プロゴルフツアー ZOZOチャンピオンシップ 第3日(23日、千葉・アコーディア習志野CC=7041ヤード、パー70)
松山英樹(29)=LEXUS=が、日米通算15勝目&2016年11月以来の国内優勝に王手を掛けた。1打差首位で出て4バーディー、2ボギーの68。通算10アンダーで1打リードを守った。最終日を首位で迎えるのは日米通算13度目で、過去12度のうち、8勝を収めた。最終日の入場券は既に完売しており、拍手と声援を受け、日本のエースが地元ファンの期待に応える。米ツアー初Vを狙うキャメロン・トリンゲール(34)=米国=が1打差の2位。
国内開催米ツアーの日本男子初Vが間近に迫ってきた。松山は観衆の期待に応え、マスターズ以来の首位で最終日進出。最終18番でリードは3打から1打に縮まったが「良いプレーがこの3日間できていると思うので、続けられるようにしたい。トップで終わったことはすごくよかったなと思う」と冷静に受け止めた。
不規則な強風にピン位置も難しく、平均スコア71・091と我慢合戦の様相を呈した。2日間1位だった松山のパーオン率も66・67%に低下したが小技で耐えしのいだ。とはいえ「自分が求めている安定感と人が求めている安定感とは違う」とメジャー王者の自己評価は厳しい。18日にチャーター便で帰国。隔離はなく、専用車両での千葉県内のホテルとコース往復だけの“バブル生活”。自室とジム、レストランの行き来のみで試合に集中している。
今回来日した米ツアーのトップ、クリスチャン・ハーディ米ツアーインターナショナル上級副社長(46)は松山の活躍に目を見張った。「ヒデキは日本ゴルフ界のことを真剣に考えているリーダーであり、今では我々米ツアーのアイコン(象徴)にもなってきている。今週はすごく勝ちたい気持ちが伝わってくる。米ツアーの認知やゴルフの普及において日本、アジアの子供たちのいい模範にもなってくれている」と絶賛した。
昨年からのコロナ下で最多の観客数を3日連続で更新した。元キャディーの進藤大典氏(41)や東北福祉大ゴルフ部の恩師・阿部靖彦監督(59)らも応援に駆けつけた。最終日の入場券は最低で2万5000円、5万8000円の高額チケットもあったが、マスターズ以来の優勝見たさに既に完売。「良いプレーができれば勝てると思うし、良くなければ負ける。ベストを尽くして頑張りたい」。ファンの力も借り、メジャー王者が象徴的な強さを体現する。(榎本 友一)