◆日本女子プロゴルフツアー ヤマハレディース 最終日(3日、静岡・葛城GC山名C=6590ヤード、パー72)
西郷、どんどん強くなる! 単独首位から出た西郷真央(20)=島津製作所=が76で逃げ切り、通算8アンダーで2週連続優勝を果たした。昨季未勝利から今季は出場5試合でシーズン3勝。1988年のツアー制施行後では、1990年の高須愛子の6試合を抜いて史上最速記録をマーク。20歳177日での4日間大会完全Vでも歴代2番目の年少記録となった。
西郷は一度も首位の座を譲らなかった。3打リードの最終18番。第1打でドライバーを強振してまさかの右OB。その後、何とか5オン2パットのダボでまとめて1打差で逃げ切りV。「ドキドキ、ハラハラしたゴルフの内容になってしまいましたが3勝目を挙げることができてうれしく思います」。今季自己最悪の「76」に20センチのウィニングパットを沈めると苦笑した。
18番のOBには特別な理由があった。「18番は(飛距離)計測ホールで。(師匠の)ジャンボ(尾崎将司)さんに『おまえ、平均飛距離は何位だ』と聞かれることがあるので。胸を張って言える数字で報告したいな、と思って」と“背伸び”した。今季平均飛距離は240・09ヤードのツアー13位で「昨季は10位(246・33ヤード)だったので。それを下回らないように。でも、次はやめておきます」と猛省した。
ショットの精度は昨季からツアー屈指。今年は小技も改善し、自信がみなぎる。史上最速、開幕5戦3勝の要因となった。4日間大会では、05年日本女子オープンの宮里藍(20歳105日)に続く歴代2番目の年少完全V。「すごく光栄なこと」とほほ笑んだ。
後続に5打差をつけて迎えた最終日。降りしきる雨を見て冷静に分析した。「大変な一日になる。ただ、それは自分だけじゃない。難しい条件の方が下から爆発的に(スコアを)伸ばしてくるのは厳しい」。昨年は3度、最終日を首位で迎えたがいずれも逆転負け。「雨でクラブを拭いたり、やることがすごく多くて。自分のプレーに集中した」と周りは気にせず戦った。
好きな言葉がある。「flow do it(ご機嫌な気持ちでやるべきことをやる)」―。この日のご機嫌度は「優勝できたので100%」と声を弾ませた。一戦一戦全力を尽くすことを信条とする伸び盛りの20歳。師匠から課された次なる“宿題”「国内メジャー優勝」に向け、強さを増していく。(榎本 友一)
◆年間3勝到達の出場試合数最速記録 今大会の西郷(5試合)までは、90年のヤマハカップレディスオープンの高須愛子の6試合が最少記録だった。91年の岡本綾子(廣済堂アサヒゴルフカップ)、03年の不動裕理(リゾートトラストレディス)、04年の不動(廣済堂レディスゴルフカップ)、07年の全美貞(ヴァーナルレディス)の7試合が2番目だった。