工藤遥加、“家族一丸”で悲願のツアー初Vへ3差2位…父・公康氏からは“金言”


工藤遥加は13番でティーショットを放つ(カメラ・岩田 大補)

工藤遥加は13番でティーショットを放つ(カメラ・岩田 大補)

◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 第2日(10日、兵庫・六甲国際GC=6527ヤード、パー72)

 3差4位から出た、ツアー未勝利の工藤遥加(29)=フリー=が4バーディー、1ボギーの69で回り、7アンダーで3差2位4バーディー〈69〉の好位置につけた。今季からコーチに就いた、前ソフトバンク監督の父・公康氏(59)から“金言”を授かり、4日間大会では自身5度目の予選トップ3突破。キャディーの弟・拓也さんも含め“工藤家一丸”で、悲願のツアー初Vを目指す。大会アンバサダーを務める宮里藍さん(36)と同学年で、ツアー5勝の藤田さいき(36)=チェリーゴルフ=が10アンダー首位。

 プロ12年目の工藤が、アスリートとして偉大な先輩でもある父の教えを生かし、初の頂点を視界に捉えた。前半の4、5番で2メートル以内のバーディーチャンスを着実に奪取。さらに7番で3メートル、後半の15番はカラーから3・5メートルを決めきり伸ばした。「ピンポジ(ション)を見て、攻めすぎると落としてしまう印象。(チャンスに)ついたらバーディーを狙う感じで、その通りできた」と胸を張った。

 オフから指導を仰ぐ父・公康“コーチ”は、プロ野球の現役時代に通算224勝の「名球会投手」で、実働29年は歴代1位タイ。今回帯同はしていないが、今週に向けた調整時に「いいイメージというのも大事だが、自分が今できるレベルのことをやることが大事」と助言された。完璧主義より、最善主義。求めすぎず冷静に好機を待ち、きっちりモノにした。

 厳しいプロ生活でルーズになりがちな、根本の部分も学んだ。以前は試合や練習で疲れて帰るとそのまま寝ることもあったが、シャワーでなく湯船につかり、ストレッチも入念に行う必要性も父から説かれた。アドバイスはいつも強制的ではないため、「悪い方向へ考える癖が抜けず、凝り固まった思考が邪魔している部分がある」と自省する娘にはよく届く。「すごく褒めてくれるのが、少し自信になっている」と多くの好影響を生んでいる。

 今季から本格的にキャディーを務める弟・拓也さんの存在も力。1桁順位での予選突破は今季初で、過去にも4度しかない4日間大会のトップ3ターンにつなげた。

 自己最高の5位は14年のこの大会で記録しており、縁起もいい。「後半に下半身が少し止まってしまって、アイアンが左へ行っていた。その辺を修正して頑張りたい」と工藤。来週末の「父の日」を先取りして、選手、監督時代に計16度の日本一に立った“V請負人”の父へ、まな娘が最高のプレゼントを贈る。(宮崎 尚行)

 ◆工藤 遥加(くどう・はるか)1992年11月18日、埼玉県所沢市生まれ。29歳。中学校卒業までアイスホッケー、バスケットボール、テニス、水泳。ゴルフは12歳から始めたが年に1度、クラブを握る程度で、本格的に取り組んだのは東京・日出高入学から。高校卒業後の11年7月、プロテスト一発合格。昨季賞金ランクは80位。171センチ、65キロ。家族は両親、兄(俳優の阿須加)、妹2人、弟1人。

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