河本結が暫定5位「『河本力の姉』と初めて言われた…やばい」 弟が前週2勝目


10番、ティーショットを放つ河本結(カメラ・竜田 卓)

10番、ティーショットを放つ河本結(カメラ・竜田 卓)

◆女子プロゴルフツアー ▽スタンレーレディスホンダ 第1日(7日、静岡・東名CC=6570ヤード、パー72)

 強い雨の影響で中断されていた第1ラウンド(R)の競技は、天候の回復が見込めないため、サスペンデッドになった。ツアー1勝の河本結(リコー)は11ホールを消化し、2バーディー、1ボギーの1アンダー。3打差の暫定5位と好位置につけている。工藤遥加が4アンダーで暫定首位。

 河本が勝負の終盤戦を迎えている。冷たい雨の中、10番から出て、14番パー4で残り110ヤードからピッチングウェッジでピンそば50センチにつけてバーディー。雨、風が強まった後半の1番は10メートルのバーディーパットをねじ込んだ。「とにかく集中力を切らさないようにやっていた。とっ散らかっていたショットがしっくりハマってきた。持ち味のショットが戻ってきた」と悪天候の中でも、実りあるラウンドになった。

 2019年のアクサレディスでツアー初優勝し、この年の賞金ランク6位で畑岡奈紗らに続く“黄金世代”として注目を集めた。20年に米女子ツアーに参戦し、ショットの精度を求めてスイング改造したが、うまくなじまず「迷路でした」と振り返る。米女子ツアーを撤退し、昨年5月に国内ツアーに復帰してからも持ち味は発揮されず、今季もここまで未勝利で総合的な活躍度を示すメルセデス・ランク(MR)68位と苦戦している。

 「その場しのぎのスイングをずっと続けていた」という中、2週前のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(予選落ち)で迷路を抜け出すきっかけがあった。「基本」を見直した。「テイクバック、トップ、体の使い方…ですね。テイクバックとトップだけでかなりインパクトまでが変わった」とスイングをシンプルに考えたら、以前好調だった時のショットの精度が戻ってきたという。

 前週の男子ツアー、バンテリン東海クラシックで1学年下の弟・力(りき)が8月に続くツアー2勝目を挙げた。結は「姉としてはすごくうれしかった。勝負強かったし、プレーヤーとしてリスペクト」と弟の4打差逆転Vを素直にたたえた。だが、ツアーの通算勝利数で抜かれ、「刺激があった」だけではなかった。

 男女ツアーで、きょうだいで活躍するケースはそう多くなく、これまでは「弟、頑張っているな、姉ちゃんも頑張れよ」と、ファンから激励の言葉を何度もかけられた事はあった。ただ、ルーキーながら弟の活躍度が増す中、前週のツアーで「次のホール行く間に『河本力のお姉ちゃんらしいよ』と言われて。『河本力の姉』と初めて言われたので、やばいな…」。力は今季ツアー賞金ランク6位で「賞金王争い」に加わっている。弟の飛躍は姉として「うれしい」からこそ「弟が強くなって、そのサブみたいな感じにならないようにしたい」と、自身に言い聞かせるように話した。

 そのためにもまず、目の前に集中し、MRで50位以内に与えられる「シード権」が第一目標だ。ボーダーラインにいる葭葉ルミとの差は104・95ポイント。今季の残り少なくなった試合で上位争いを続けることが求められる。「弟に添えられた姉じゃなくて、『河本結』という1選手としてシードを取りたいなという気持ちが燃え上がりました」と気を引き締めていた。

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