吉本ひかる、PO制し涙の初優勝「いい景色を見られてうれしい」黄金世代12人目


プレーオフを制してツアー初勝利を挙げた吉本ひかるは涙を見せる(カメラ・頓所美代子)

プレーオフを制してツアー初勝利を挙げた吉本ひかるは涙を見せる(カメラ・頓所美代子)

◆女子プロゴルフツアー 明治安田生命レディス 最終日(12日、高知・土佐CC=6228ヤード、パー72)

 プロ7年目の吉本ひかる(24)=マイナビ=が通算19アンダーで並んだ、ささきしょうこ(26)=日本触媒=とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制し、涙の初優勝を飾った。98年度生まれの「黄金世代」で12人目の優勝者となった。2打差首位で出ると4バーディー、1ボギーの69。ここ2季はシード落ちもトレーニングの成果で本来のショットを取り戻し、一時はささきに3打差をつけられながらも終盤に粘った。

 今大会74ホール目となった18番でのPO2ホール目、吉本は9メートルのバーディーパットを沈めると跳び上がって喜んだ。直後にささきのバーディーパットが外れ、優勝が決まった。同世代の植竹希望(24)に出迎えられ、「泣けてきました。いい景色を見られてうれしい」と涙があふれた。

 2打差首位で出たが、9番でボギーが先行するなど12番で3打追う展開に。「このまま逆転されて負ける」。負の感情がよぎったものの、「自分はできる」と言い聞かせた。最終日最終組は6度目で、「これまでの経験が生きた」と後半に4バーディー。PO最後のパットは「しっかり背中を使って(体全体で)打とう」と意識して放った。

 19年に2週連続2位などトップ10が8回で初シードを取った。だが、以降はティーショットの不調に陥り、「ドライバーが200ヤードも飛ばずに曲がるようになった」(中島敏雅コーチ)。21年夏には「左右に曲がって振れない。このままゴルフを楽しんでやれないんじゃないか」と気持ちも沈んだ。次々と優勝を重ねる同期に置いていかれ、焦りが募った。

 昨年から中島コーチの紹介で、松山英樹(31)のトレーナーでもある飯田光輝氏(46)に師事。厳しい体幹トレやジャンプ系のメニューをこなし、スイングで軸が安定するようになった。「優勝争いの時にトレーニングが生きた」という松山の言葉を飯田氏から伝え聞き、「今日それを実感した」と感謝した。現在の飛距離は230ヤードで「今の方がゴルフのことを考えている」と言えるまでになった。

 苦しんでつかんだ黄金世代12人目のV。「2勝目、3勝目を目指したい」と宣言した。家族が見守る中、「つらい時期を支えてもらって、こうやって優勝できた」と話すと、再び大粒の涙があふれた。(岩原 正幸)

 ◆吉本 ひかる

 ▽生まれとサイズ 1999年2月25日、滋賀・高島市生まれ。24歳。152センチ、53キロ

 ▽家族 両親、姉、妹2人。名前の由来は宇多田ヒカル(歌手)から

 ▽ゴルフ歴 9歳から。滋賀短大付高出身。17年7月のプロテストに勝みなみらとともに一発合格

 ▽ツアー成績 アマ時代の16年に下部ツアー優勝。17年にも2勝目。19年にレギュラーツアーの賞金ランク28位で初シードも、昨年はポイントランク68位で2季連続のシード落ちを経験

 ▽趣味 映画、ライブ。「三代目 J SOUL BROTHERS」「THE RAMPAGE」がお気に入り

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