◆男子プロゴルフツアー ▽関西オープン 最終日(16日、大阪・泉ヶ丘CC=7051ヤード、パー71)
蝉川泰果(22)=フリー=が5バーディー、1ボギーの67で、通算17アンダーで逃げ切り、2位に4打差をつけ、プロ初優勝を果たした。アマ時代の2勝を含め、ツアー通算3勝目。前年大会(17位)は、最終日に崩れて悔し泣きしたが、地元・関西でうれし涙を流した。石川遼(31)=カシオ=、松山英樹(31)=LEXUS=に次ぐツアー歴代年少3番目となる賞金王獲得を目標に掲げた。
涙のプロ初Vだ。最終18番、蝉川は1メートルのパットを沈めて今大会24個目のバーディーで締めた。「なかなか優勝できないんじゃないかという思いの中で、優勝できて素直にうれしい」と、5000人を超える観衆の拍手に目元を拭い、プロ初勝利の味をかみしめた。ツアー史上初のアマ2勝の看板を掲げ、昨年秋にプロ転向して6戦目。「100点満点のゴルフができた」と胸を張った。
中学3年時、初のレギュラーツアーが関西オープンだった。以降、開催なしだった20年を除く毎年、大会に出場し、昨年は決勝Rを最終組で迎えた。しかし、4打差3位から逆転を狙った最終日に77と崩れて17位に終わり、悔し涙にくれた。「刻むなら刻む。悩まず振りきれるような状況を自分で作り、後悔ないようにするのは、その試合から変わった」。1年前のリベンジに成功し、うれし涙に変えた。前日の雨で足元がぬかるむ状況でも、1ボギーのみ。安定したプレーで他を寄せつけなかった。
日本一のキャディーも心強かった。イ・ボミ(韓国)を2度の賞金女王に導くなど、“優勝請負人”で知られる清水重憲キャディー(48)に自ら声をかけ、今大会で初タッグを組んだ。「ポジティブな声かけをしてくれて、思い切ってシンプルにプレーできた」と感謝した。重圧がかかる最終日も、清水キャディーとの会話で、笑顔を見せる場面もあった。
前年覇者の比嘉一貴(27)=フリー=が、昨年賞金王になったことで「複数回優勝と賞金王を目指したい」ときっぱり。22歳でツアーの頂点に立てば、09年石川の18歳、13年松山の21歳に次ぐ年少3番目での王座となる。「(海外)4大メジャー制覇の夢もあります」と観客に宣言もした。プロ初勝利で得た自信を胸に、蝉川が地元・関西で夢への一歩を踏み出した。(瀬川 楓花)