岩井千怜が通算23アンダー独走完全V 双子の姉・明愛と全英「一人で行くより100倍うれしい」


優勝した岩井千怜(左)は双子の姉・明愛と笑顔でハイタッチ(カメラ・馬場 秀則)

優勝した岩井千怜(左)は双子の姉・明愛と笑顔でハイタッチ(カメラ・馬場 秀則)

◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 最終日(11日、兵庫・六甲国際GC=6513ヤード、パー72)

 岩井千怜(ちさと、20)=ホンダ=が5バーディー、1ボギーのこの日最少に並ぶ68で回り、通算23アンダーで今季2勝目、4日間首位を譲らない完全優勝で通算4勝目を飾った。今大会で有資格者を除く上位2人などに与えられる8月のメジャー、AIG全英女子オープン(10日開幕・ウォルトンヒースGC)の初出場権を手にした。前年覇者の山下美夢有(21)=加賀電子=、申ジエ(韓国)が5打差の18アンダー2位。

 岩井千がスイッチを入れた。12番パー5。元世界ランク1位で同じ最終組の申が背後に迫った。スタート時に5打あったリードは1打差。プレッシャーをかけられ、自分に言い聞かせた。「やっぱり来たか。このままだと抜かされる…。自分のゴルフをやるだけ」

 持ち前の集中力がグンと上がった。続く第3打は3メートルにピタリ。バーディーで2差に広げ、14番は50センチにつけるバーディーで突き放す。ハイライトは16番だ。「ナイスショットで観客を沸かせたい」と2メートルに運び、5差に広げて勝負を決めた。

 初日から首位を譲らない自身初の完全V。「今聞いて完全優勝なのかと。短いようで長いラウンドになった」と息をついた。通算23アンダーは16年テレサ・ルー(台湾)のツアー記録(24アンダー)にあと1打。「全力を尽くした結果。満足です」と笑顔を見せた。

 表彰式で憧れの大会アンバサダー・宮里藍さん(37)から「格好良かったよ」と祝福された。「ジャケットを着せていただいて、今週一番うれしい。改めてファンになった」。7月の全米女子オープンに続き、AIG全英女子オープンの出場切符も獲得。姉の明愛(あきえ)との姉妹出場も決まり「一人で行くより100倍うれしい」と声を弾ませた。

 大会前の世界ランク53位から上昇が見込まれる千怜は、7月11日時点の50位以内の資格でメジャーのエビアン選手権(7月27日開幕、フランス)の出場も見えた。「チャンスがあれば出たい」。昨年8月以降、4勝を重ね、夢は世界へ広がる。将来的な海外希望も口にし、「藍さんのように活躍したい思いがもっと強くなった」。勢いあるプレースタイルのままに、米9勝で元世界ランク1位のレジェンドの背中を追う。(岩原 正幸)

 ◆岩井千の通算23アンダー ツアー日本人歴代最少タイ記録。72ホールの最少ストロークは16年大王製紙エリエールレディスのテレサ・ルー(台湾)の24アンダー。同大会で23アンダーだった比嘉真美子に並んだ。(88年ツアー制施行後)

初観戦で藍さんV 父「縁がある」

 岩井姉妹が8歳の時にゴルフに導いた父・雄士さん(50)は2人が3歳の時、2005年樋口久子IDC大塚家具レディス(埼玉)の会場に連れて行ったという。「初めてのトーナメント観戦で、優勝した(宮里)藍ちゃんを見に行った。2人は覚えてないだろうな。まだ小さくて、うるさいし、目が離せなかった」と懐かしそうに話した。

 2年前のサントリーレディスには2人そろってアマで出場し、宮里藍さんと姉妹が一緒に写真を撮ってもらったのもいい思い出だ。当時は姉の明愛がベストアマを獲得。今回、水色の優勝ジャケットを藍さんから着せてもらった千怜の姿を見守った父は「縁がありますね」と、幸せそうな表情だった。(正)

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