畑岡奈紗、首位で迎える最終日「楽しみ」 “兄弟子”松山英樹からの金言を胸に海外メジャー初V狙う


◆米女子プロゴルフツアー 今季メジャー第3戦 全米女子オープン 第3日(8日、ペブルビーチGL=6509ヤード、パー72)

 【モントレー(米カリフォルニア州)8日=岩原正幸】ツアー6勝の畑岡奈紗(24)=アビームコンサルティング=は6打差5位から出て、6バーディーの66で通算7アンダーの単独首位に浮上した。全選手唯一のボギーなしで、これまでトップ10が7度ある中、悲願のメジャー初制覇に王手。男子で21年マスターズ優勝の松山英樹(31)から大会前、間接的に助言を受け「松山さんのような存在になれるように」と気合を入れた。アリセン・カーパズ(米国)が1打差2位。

 今週初めて晴れたペブルビーチで日本のエースが躍動した。畑岡は海を望む17番で3・5メートルを沈め、この日6つ目のバーディー。首位タイで終えると、その後トップの選手がスコアを落とし、単独首位に立った。「今日は本当にいい内容のゴルフができた。その結果だと思う」と笑みを浮かべた。

 気温は14度前後で、コース上は風速7メートルほどの海風が舞った。手袋などの寒さ対策をしたが、曇天の予選ラウンドとは一転、日差しを浴びたムービングサタデーは「気温が高く思うように体が動き、狙い通りに打てた」と満足の一日となった。6番でバンカーから60センチに寄せて伸ばし、10番は7メートルを沈めるなど大会自己最少66。74人で唯一のボギーなしと輝きを放った。

 試合のなかった前週。昨年から師事する黒宮幹仁コーチ(32)の元に、同じく同氏の教えを受ける松山から「来週、ペブルだよね。傾斜の練習をしておいた方がいい」と連絡が入った。19年全米オープン(21位)で回った経験があり、グリーンが小さく難しいことから、畑岡への間接的な助言につながった。その言葉通り、前週はグリーンの傾斜に向けて打つアプローチ練習を徹底。球の回転や落とし方の強弱など「6種類の球を打てるように重点的にやった」(黒宮コーチ)という。

 16番ではグリーン奥のラフから打った約12ヤードの第3打で右に切れるラインを読んで、チップインバーディー。大歓声を浴び、右手でガッツポーズした。公式会見では米メディアから、2年前に日本男子初のメジャー覇者となった松山に関して質問を受け、「同じ日本人としてうれしく、勇気をもらった。私も松山さんみたいな存在になれるように、明日1日頑張りたい」と堂々と答えた。

 21年大会は笹生優花にプレーオフで敗れて2位と涙をのんだ。18年全米女子プロでもプレーオフ負け。樋口久子(1977年全米女子プロ)、渋野日向子(2019年AIG全英女子オープン)、2年前の笹生に続く日本勢4人目のメジャータイトルは、目前に迫る。「経験は積んでいる。もう1日、今日みたいなゴルフができれば」。雪辱への思いも胸に残り18ホール、全てを出し切る。

 ◆畑岡に聞く

 ―66と伸ばした。

 「7番から海沿いで風の強いホールが続いた。うまくパーセーブできた。予選で攻略できなかったバックナイン(後半)でバーディーを4個取れた」

 ―パッティング好調。

 「2日目は初日より決まっていなかったので、少し修正した。チャンスのところでうまく(パターを)動かせた」

 ―最終日への心境。

 「楽しみな気持ち。もちろん緊張すると思うが、今やっていることと、サポートしてくれている方々を信じてできれば」

 ―単独首位について。

 「2打差、3打差で追いかける方が楽と言われることも多いが、今まで追いつけずに悔しい思いをしたことの方が多い。上にいる方がアドバンテージだと思う」

 ◆全米女子オープン第3R終了時の日本人首位

 ▽1987年の岡本綾子(当時36歳) 米ニュージャージー州プレーンフィールドCCで第3R終了後、通算3アンダーで1打差の単独首位に立った。豪雨の影響で再三の順延となり、月曜日に行われた最終Rでローラ・デービース(英国)、ジョアン・カーナー(米国)と首位に並び、火曜日開催の18ホールの3人プレーオフで敗れて2位。

 ▽20年大会の渋野日向子(当時22歳) 米テキサス州チャンピオンズGCで第3R終了後、通算4アンダーで1打差の単独首位をキープ。最終Rは2バーディー、5ボギーの74で2打差4位で涙の惜敗。

 ◆畑岡の最終日逃げ切りV 日米通算11勝中、8勝(日米4勝ずつ)が逃げ切り。最終日首位からのV逸は、21年11月の米ツアー、CMEツアー選手権(1打差2位)の1度のみで9戦8勝(勝率89%)。

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