阿部未悠、ミレニアム世代4人目V…ソフトバンク甲斐拓也と自主トレで学んだ「楽しむ気持ち」で大会新15アンダー


ツアー初優勝を果たし、フラワーシャワーの祝福に万歳する阿部未悠(左は高木優奈=カメラ・安藤 篤志)

ツアー初優勝を果たし、フラワーシャワーの祝福に万歳する阿部未悠(左は高木優奈=カメラ・安藤 篤志)

◆女子プロゴルフツアー 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 最終日(7日、埼玉・石坂GC=6535ヤード、パー72)

 プロ4年目で首位から出た阿部未悠(23)=ミネベアミツミ=が8バーディー、1ボギーでこの日最少&大会コース記録の「65」で回り、大会新記録の通算15アンダーで初優勝した。佐久間朱莉(しゅり、21)=大東建託=との壮絶な競り合いを14番からの4連続バーディーで制し、2000年度生まれ「ミレニアム世代」で4人目の優勝。プロ野球ソフトバンク・甲斐拓也捕手(31)との自主トレで学んだ「楽しむ気持ち」を胸にプレー。趣味のカメラで培った集中力を勝負どころで発揮し、優勝副賞の高級カメラを手に入れた。

 グリーンを外した18番で1メートル超のパーパットを沈め、1打差で勝負を制すと、阿部の目に涙があふれた。「両親が喜んでいる姿を見て涙が出てきた」。14番で3メートルを決め、2打のビハインド。ここから“ピントを合わせて”怒とうの4連続バーディーで佐久間を一気に逆転し、初Vをつかんだ。

 「後半が勝負」と読み、10番のバーディーで「前半に温めていたエンジンが掛かったと思ったら11番で(ピンチが)来た」。だが、7メートルのボギーパットを沈めて耐えると、12番から再び持ち前のショット力を発揮。今週、常に忘れなかったのが「楽しむ気持ち」だった。

 1月にソフトバンク・甲斐が大分市内で5球団7捕手で行う自主トレに、共通の知人がいる縁で初参加した。トレーニングのほか、阿部がゴルフボールをノックし、野球選手が前に走りながら捕球するユニークな練習も。もともと甲斐のファンだったという23歳は「競技は違うけど、皆真剣にやる中で楽しんでいる」と実感。昨季後半に調子を落とし「つらかった」という自身を省み「ハッとさせられた。ゴルフを楽しまなきゃと思った」と今季からプレー中の心構えを改めた。

 地元・北海道で小4からゴルフを始め、練習場で一日中打ち込んだ。中学進学時に両親に「どうしても道外に行きたい」と雪のない冬場の練習環境を求め、中高は母・早苗さん(50)と福岡の学校へ“ゴルフ留学”して腕を磨いた。

 同じ00年度生まれ「ミレニアム世代」では古江彩佳、西村優菜、吉田優利に続く4人目のツアー優勝者となった。「アマチュア時代からトップにいた3人で、すごいな、と思っていた。焦りはなかったが優勝できて本当に良かった」と喜びをかみ締めた。「この1勝で終わらず、また優勝を重ねていきたい」。ツアー屈指のドライバーショットの精度を誇る成長株は、“被写体”としての注目度も急上昇しそうだ。(岩原 正幸)

 ◆阿部 未悠(あべ・みゆう)2000年9月27日、北海道・恵庭市生まれ。23歳。父・敏春さん(54)の影響で10歳から競技を始め、中高時代を福岡で過ごす。第一学院高卒業後、北海道女子アマ選手権V。20年度プロテスト(21年6月実施)に2度目の挑戦で合格。昨年から目沢秀憲コーチに師事。趣味は野生動物の写真撮影で自称「ネイチャー系カメラマン」。155センチ。家族は両親。

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