久常涼 「全てが違っていた」マスターズ 逆転パリ五輪切符へ「いい経験になった」


久常涼

久常涼

 【オーガスタ(米ジョージア州)15日=高木恵】男子ゴルフのメジャー初戦、マスターズは14日に幕を閉じた。特別招待で初出場した久常涼(21)=SBSホールディングス=は82位で予選落ちを喫したが得られたものは大きく、今後につながる1週間となった。今夏のパリ五輪の逆転での切符獲得へも意欲を見せている。欧州ツアーを主戦場とする中島啓太、星野陸也らとの大混戦の2番手争いが、熱を帯びてきた。

 21歳の若さで、久常はマスターズという夢舞台に立った。「いい経験になった。この試合は今までの試合とは全てが違っていた。全てが足りなかった」。さらなる向上へ、意欲をかきたてられた1週間だった。開幕前の練習ラウンドを松山と回り、学びを得た。週末もコースに姿を見せ、松山について歩き、熱い視線を送った。

 今季から米ツアーに本格参戦する久常にとって、来季シード取りはもちろん、パリ五輪代表入りもモチベーションの一つになっている。昨年9月の欧州ツアー、フランス・オープンで優勝。パリ五輪開催のコースとなるル・ゴルフ・ナショナルで、ひと足早く頂点に立った。「僕が初優勝したコースでもあるので、そこにはすごく戻りたい」と力が入る。

 現在の日本勢の世界ランクは松山英樹が15位の1番手で資格を得ることは確実で、2番手争いは混戦。89位の久常は75位の中島啓太に次ぐ3番手につけ、星野陸也が90位から追う展開となっている。「日の丸をつけて戦える機会は本当に少ない。やはりそこは目指して頑張っている」。米国で結果を残し、6月までにランキングを上げていく。

 開幕前日のパー3コンテストに、交際中の古川莉月愛(りるあ)さん(23)と出場した。古川さんは日本ツアーの最終プロテストに進んだことがあり、ベストスコアは64のトップアマ。ツアーに同行し、サポートを受けていることも支えになっている。久常は「来年戻ってこられるように頑張りたい」と話し、オーガスタを去った。一度帰国し、次戦はバイロン・ネルソン(5月2~5日、テキサス州)を予定。逆転でのパリ行きを目指す。(高木 恵)

 ◆男子ゴルフのパリ五輪への道 6月17日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を得る。同ランク15位以内は各国・地域で最大4人、16位以下は最大2人が出られる。大会は8月1日から4日間、フランス・ル・ゴルフナショナルで、72ホールストロークプレーの個人戦で争われる。16年リオ五輪は池田勇太が21位、片山晋呉は54位。21年東京五輪は松山英樹が4位、星野陸也は38位。

最新のカテゴリー記事