新垣比菜、兄が肩を震わせて男泣き 6年ぶり優勝を支えたキャディー…元ラガーマンの夢蔵さん「夢がかなった」


優勝を決め歓声に応える新垣比菜(左)の後方で兄の我如古夢蔵キャディーは号泣(カメラ・今西 淳)

優勝を決め歓声に応える新垣比菜(左)の後方で兄の我如古夢蔵キャディーは号泣(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー ヨネックスレディス 最終日(2日、新潟・ヨネックスCC=6339ヤード、パー72)

 首位からスタートした新垣比菜(ダイキン工業)が、4バーディー、2ボギーの70で回り、通算14アンダーで優勝した。2018年のサイバーエージェントレディス以来、6年ぶりのツアー2勝目。沖縄出身の25歳。ツアー屈指の人気女子プロが雨の新潟で、うれし涙を流した。3打差の2位は穴井詩(ゴルフ5)、高橋彩華(東芝)、蛭田みな美(ユアサ商事)だった。

 雨が強まった最終18番グリーン。新垣は1メートル弱のウイニングパットを沈めて6年ぶりの優勝を果たした。

 歓喜の直後、晴れやかで美しい笑顔を見せた新垣の隣で、キャディーを務めた兄の我如古夢蔵(がねこ・むさし)さんは、ピンを握ったまま肩を震わせて男泣きした。

 3年前から新垣のキャディーを務める夢蔵さんにとっては初優勝だった。「夢がかないました」と涙を流した。兄の涙に、笑顔だった新垣ももらい泣きした。「兄が泣いている姿を見て私も泣いてしまいました。悔しくて泣いたことは何度もありますけど、うれし泣きは人生初めてです」と、新垣は少し恥ずかしそうに話した。

 25歳の新垣と34歳の夢蔵さん。年の離れた異父きょうだいは、大の仲良し。「性格はまるで正反対。兄は超ポジティブで、私はネガティブ」と新垣が話せば、夢蔵さんも「本当に性格が正反対です。だから、仲良くやれていると思いますよ」と楽しそうに語る。ふたりが18番グリーンに上がった時、グリーンサイドのリーダーズボードには、2位に3打差をつけて新垣比菜の名前が堂々と一番上にあった。「それでも比菜は『あのスコア、本当なのかな?』と言っていました」と兄は苦笑いしながら話した。

 夢蔵さんは明るくて熱い。「ラグビーをやっていたので熱いんですよ」と笑う。大学ラグビーの強豪、流通経大ではフルバックとしてプレーした。大学を卒業後、沖縄に戻り、会社員を経験した後、3年前から新垣を支えるプロキャディーとなった。

 3年間、ともにしたツアー生活でも新垣は弱音を吐くことが多かったという。「比菜は『自分は下手だ』とよく言っていましたね。昨日(第2日)も63を出したのに、自信を持てないでいました。スタート前に『まぐれで63は出ないよ。実力があるんだ。オレも隣にいるよ』と励ましたんですよ」と夢蔵さんは明かした。

 逸材がそろう1998年度生まれの「黄金世代」。そのひとりの新垣は、まだ19歳だった2018年4月に早々とツアー初優勝を挙げた。同年には賞金ランク23位と躍進したが、その後、成績は徐々に下降。昨年はポイントランク69位でシード権を逃した。苦しい時間を支えてくれた兄に新垣は心から感謝する。「私ひとりだったら落ち込むことが多いですけど、兄は上に引き上げてくれる存在です。身内がいつも一緒にいてくれることは心強いです」と少し照れながら話した。

 優勝した選手のキャディーは、トーナメント使用された18番のピンフラッグをもらうことができる。夢蔵さんは大事そうにピンからフラッグを外し「比菜にサインしてもらって家に飾りますよ」と満面の笑みを見せた。夢蔵さんは、その名前の通り「夢」かなえて、持ち帰った。

 ◆新垣 比菜(あらかき・ひな)

 ▼生まれ、年齢 1998年12月20日、沖縄・うるま市。25歳

 ▼ゴルフ歴(アマ) 9歳で始め、小学校6年時の2011年にダイキンオーキッドレディスでプロツアーに初出場した。13年、九州女子選手権優勝。15年、沖縄・興南高2年時にプロ下部ツアーのラシンク・ニンジニア/RKBレディースでアマ優勝を果たした。16年、日本ジュニア優勝

 ▼ゴルフ歴(プロ) 17年7月、プロテストに一発合格。同年8月、NEC軽井沢72でプロデビュー(予選落ち)。同年は4試合に出場し、2回、決勝ラウンドに進出し、賞金ランク116位。18年からツアーに本格参戦し、4月にサイバーエージェントレディスで初優勝。同年、賞金ランク23位で初のシード権を獲得した。その後、年間ランク(19年まで賞金、20年以降ポイント)は19年27位、20―21年(統合シーズン)59位、22年85位、23年69位

 ▼趣味 映画観賞

 ▼好きな色 ピンク

 ▼契約 所属はダイキン工業、クラブはテーラーメイド、ウェアはラルフローレン

 ▼サイズ 身長165センチ、体重56キロ

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