日本女子史上初、メジャートップ10に5人 賞金計約7億2000万円 13年スタート「世界で勝つ」計画結実


◆米女子プロゴルフツアー メジャー第2戦 全米女子オープン 最終日(2日、米ペンシルベニア州ランカスターCC=6583ヤード、パー70)

 ゴルフの全米女子オープンで、日本勢はメジャー過去最多となる5人がトップ10入りを果たした。昨年よりも1人少ない21人が出場し、決勝ラウンドには最多14人が進出。笹生が2度目の制覇を果たし、単独2位に渋野が入った。21年大会以来となる日本勢のワンツーフィニッシュという輝かしい大躍進。「世界で勝つ」をテーマに13年から中期経営計画を立てた日本女子プロゴルフ協会のツアー強化策が実った。

 メジャー史上最高の賞金総額1200万ドル(約18億8400万円)のうち、4割強を日本勢が獲得した。トップ10のうち5人で約7億2000万円、決勝ラウンドに進んだ14人では約8億1400万円だった。

 優勝賞金240万ドル(約3億7680万円)は笹生が獲得。2位の渋野も129万6000ドル(約2億300万円)と、歴代日本ツアーの女王が1年かかる賞金額をわずか1試合で手にした。6位の古江は36万ドル(約5652万円)。9位の竹田、小祝も27万ドル(約4239万円)で昨年の国内メジャー最高優勝賞金(日本女子プロゴルフ選手権の3600万円)を上回る高額となった。

 今大会の出場資格には世界ランク75位以内という項目があり、前週時点で日本勢12人が入った。また、出場して経験を積むだけでなく活躍して優勝するというモチベーションも今では当たり前となった。

 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は小林浩美会長(61)の下、「世界で勝つ」をテーマに13年から本格的にツアー強化に乗り出した。ピン位置、ラフの長さなど、さまざまなセッティングにより選手の引き出しを増やす狙いもある。

 例えば、昨年の国内メジャー、ワールドレディスサロンパスカップは、90ミリの長いラフ、最終日の大雨や強風が選手たちに牙をむいた。ツアー史上48例目の優勝者のスコアが通算オーバーパーとなった。

 4日間大会は今年度、全37大会中約半数の18大会。予選から午前、午後スタートを経験し、海外にスポット参戦しても実力を出せる環境が整う。下部ツアーは17年から成績が世界ランクのポイントに反映されるようになり、渋野らが台頭した。弾道測定器を使用するプロも多く、ゴルフを科学で考えるデータ化も課題解決や上達の早さにも直結する。小林会長は「年々、選手の力とツアーの競争力が上がっている。日本ツアーで培った強さを思い切り発揮してほしい」と話す。

 元世界ランク1位でツアーを引退した宮里藍さんに影響を受けた、勝みなみ、渋野ら畑岡ら98年度生まれの黄金世代が台頭。畑岡の世代は、ジュニア時代からナショナルチームで国際経験を積んだ。さらにツアーではアマチュア優勝を飾るなど一気に世代交代を押し進めた後は、海外志向の強かったさらに下の世代の稲見、古江、笹生ら有望株が次々とツアーで活躍しつないだ。

 海外メジャーは今、夢ではなく現実的な目標に変わった。

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