松山英樹の銅メダルを支えた宮野敏一氏が明かす 思い出の「バースデーラウンド」…パリ五輪


銅メダルを獲得し、会見場へ向かう松山英樹(カメラ・小林 泰斗)

銅メダルを獲得し、会見場へ向かう松山英樹(カメラ・小林 泰斗)

◆パリ五輪 第10日 ▽ゴルフ男子(最終日=4日、ル・ゴルフナショナル=7174ヤード、パー71)

 男子ゴルフで日本初の表彰台となる松山英樹(32)=LEXUS=の銅メダルに、住友ゴム工業(ダンロップ)の宮野敏一氏(43)も現地で感極まった。「こみあげました。このメンバーで銅メダルは大変なこと」。ツアーレップ(用具担当)として2020年から米ツアーに帯同する宮野氏はパリ五輪にも同行し、クラブ調整をサポートした。

 6月に出場を明言するまでは五輪に強い意欲を見せていなかった松山だが、パリでは違ったという。「会場に入ってからは、気持ちが日に日に入っていくのが見ていて明らかだった」。開幕前週の土曜日にコース入り。大会中も最後まで残り、必死に調整を重ねる姿があった。「松山プロから『メダルを取りたい』という言葉が、チームの中での会話で出ていた」。具体的な目標を口にすることは、松山にしては珍しいことだった。

 松山英樹は優しい。チームのメンバーの誕生日を、毎年忘れずに祝ってくれる。自らショッピングモールに足を運び、宮野氏のために服を選んだこともあった。2022年のプレゼントは「ラウンド」だった。松山から声をかけられた。「行きましょう。今日は宮野さんの誕生日だから、クラブのことを忘れて回りましょう」。

 ロサンゼルス近郊のコース。1月にソニーオープンでツアー8勝目を挙げた直後だった。もちろん「めちゃくちゃ楽しかった」のだが、想像もしない展開が待っていた。21年マスターズチャンピオンに、ゴルフ場のメンバーが気づかないわけがない。「気軽に行ったら大ギャラリーになっちゃって。松山プロは慣れているけど、僕はもう、緊張で大変。最後上がってくる時には、クラブハウスに150人くらいいました」と懐かしそうに笑った。

 松山はホールアウト後、3大会連続となるロサンゼルス大会へ意欲を見せた。「今年2月にジェネシス招待を勝ったコースなので、思い入れも強いと思います。ロスで金メダルを取る松山プロが見たいです」。表彰台で笑顔を見せる松山を、4年後も現地で見届けるつもりだ。(高木 恵)

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