◆米男子ゴルフ プレーオフ第1戦 フェデックス・セントジュード選手権 第1日(15日、米テネシー州メンフィス・TPCサウスウインド=7243ヤード、パー70)
前戦のパリ五輪で銅メダルを獲得した松山英樹(32)=LEXUS=が7バーディー、2ボギーの5アンダー、65をマークした。五輪後に英国で窃盗被害に遭った。パスポートを盗まれたエースキャディーとコーチが帰国して不在の中、動じることなく力を発揮し、首位と1打差2位と好発進した。クリス・カーク(米国)が64で首位。パリ五輪を制したスコッティ・シェフラー(米国)、同銀メダルのトミー・フリートウッド(英国)は66で5位につけた。
急造タッグで、好発進を決めた。松山は18番のパーパットを沈めると、田渕大賀キャディーと静かに握手を交わした。猛暑の中でわずか24パットとグリーン上でさえ「思ったよりも良いゴルフができた」と納得の笑みだった。銅メダルを獲得したパリ五輪からの好調を持続し、2500万ドル(約37億円)をかけたプレーオフシリーズを好位置でスタートした。
パー5の3番で第2打を池に入れてボギーとしたが、4番でスコアを取り戻した。7番で7メートルのパットを沈めると、バンカーに入れた10番は3メートル半を入れてパー。12番は10メートルをねじ込んだ。14番で5メートルを沈め、15番は第2打を60センチに運び、16番パー5はグリーン周りからの第3打を寄せて3連続バーディー。「ゴルフは確実に良くなってきている」と自信を口にした。
五輪後にフランスから米国に戻るため経由地のロンドンで出かけた際、盗難に遭った。一緒にいた早藤将太キャディー(30)と黒宮幹仁コーチ(33)のパスポートを入れたバッグが持ち去られ、松山も財布を失った。銅メダルは無事だったものの、日本帰国を強いられたキャディーに代わり、普段は久常涼(21)=SBSホールディングス=のバッグを担ぐ田渕氏と回る緊急事態。迎えたピンチを「新鮮な感じ」とプラス材料に変えた。
同シリーズは最終戦のツアー選手権(29日開幕)まで3試合を行い、年間ポイントランクで8位につける松山は日本人初の年間王者をかけて戦っている。チームの2人は現在日本でビザ再発行の手続きをしており、合流時期は未定。早藤氏は最終戦に間に合う可能性があるという。「起きたことは仕方ない。コースに入るともう完全に忘れている。結果につなげられるよう頑張りたい」。今季2勝目へ、いつも通り一打に集中する。
◆プレーオフシリーズ 2007年に始まった制度。試合ごとの順位をポイント換算した年間上位70人から2戦目は50人、最終戦は30人と出場選手数が制限される。松山は前週までで1889点の8位で、首位のシェフラーは5993点。今大会とBMW選手権は優勝で2000点など通常大会の4倍のポイントが与えられ、大逆転のチャンス。さらに、最終戦はポイント1位は10アンダー、2位は8アンダーからスタートするハンディキャップ方式戦。ツアー選手権を制した選手が年間王者となり、2500万ドル(約37億円)のボーナスを獲得する。