◆女子プロゴルフツアー CATレディース 最終日(18日、神奈川・大箱根CC=6652ヤード、パー72)
3打差の単独首位から出た川崎春花(21)=村田製作所=が4バーディー、2ボギーの70で回り、大会タイ記録の通算13アンダーで今季3勝目を飾った。初日から首位を譲らず自身初の完全Vで通算5勝目。今週は「自分で考えてやりたい」とハウスキャディーを起用。“ゴルフ脳”を活性化させて次週は2年連続2度目のメジャー最終戦、AIG全英女子オープン(22日開幕、セントアンドリュース)に出場する。
50センチのウィニングパットを沈めると、川崎は右手を高々と突き上げた。初日からトップを守り続けて完全V。過去4勝は全て72ホールの4日間大会だっただけに「初めて3日間大会で優勝できた」と真夏の54ホールを戦い抜いた喜びを語った。
今週のテーマは「自分で考える」。4月のパナソニックオープン以来、今季2度目のハウスキャディーを起用。担当した大窪ネネさん(26)は年齢も近く終始笑顔でのラウンドとなった。「8割くらい自分でやっていた。今日(のアドバイス)は風の確認くらい」と大窪さん。ほとんどは川崎のセルフジャッジだったという。川崎は「課題は目の前の一打に集中すること。それが優勝につながった。どきどきすることもなかった」と涼しげな顔で振り返った。
この日、最も手応えがあったのは9番パー5だ。ピンまで93ヤードの第3打で52度ウェッジを握った。だが、打つ直前にはアゲンストの風を強く感じ、48度ウェッジで抑えて打つことも選択肢だった。「構えたら52度でいける」と決断し、自信を持って振り抜いた一打は、ピン左1メートルに絡んでバーディーとし、後続と4打差で後半へ向かうこととなった。
次週は2年連続で挑む全英オープン。試合後はコース最寄りのJR三島駅で父・太郎さんと合流し、深夜の出国に向け、羽田空港に向かった。今年の開催はゴルフの聖地・セントアンドリュースとなり、「一回行ってみたかったところ。どんな環境でも一生懸命プレーしたい」と瞳を輝かせた。
2戦連続制覇に続き、2週連続の予選落ちと、この夏は一喜一憂した。刺激を受けたのが11日に閉幕したパリ五輪で活躍した男子の松山英樹ら日本勢だ。「オリンピックの舞台はかっこいい。そういうチャンスが取れるようにそれまで一生懸命頑張りたい」と川崎。集中力と考える力をつけ、まずは全英で自分の持てる限りの力をぶつける。(富張 萌黄)
○…優勝の副賞として大会恒例の重機が贈呈された。「日本キャタピラーに合わせた」という黄色のウェアとマッチ。用途について、川崎は「自宅では使えないので、寄付とかの方向で考えたい」と苦笑い。