◆女子プロゴルフツアー メジャー第2戦 ソニー日本女子プロ選手権 最終日(8日、沖縄・かねひで喜瀬CC=6670ヤード、パー72)
21歳の竹田麗央(りお、ヤマエグループHD)が5バーディー、2ボギーの69で、大会記録に並ぶ通算19アンダーで制し、今季6勝目を初のメジャータイトルで飾った。初日から首位を守り、今大会の4日間完全Vは日本人で初。ツアー初優勝からの年間6勝は小林浩美(89年)=現日本女子プロゴルフ協会会長=以来2人目。躍進の飛ばし屋が初の年間女王へ前進した。パリ五輪4位の山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が1打差の2位。
竹田は18番、5メートルから2パットのパーで1打差逃げ切り、念願のメジャー初優勝を手にした。女子メジャー初開催となる沖縄で連日、直射日光の下、自身のプレーに徹した。「4日間本当に長かった。まだ実感が湧いていないが、ホッとしている」とプロNO1決定戦を制した喜びに浸った。
4番で5メートルを沈めて初バーディーを奪い、緊張した気持ちが少し落ち着いた。後半は14、16番でもバーディーを重ね、目標の20アンダーには届かなかったが、昨季まで2年連続女王の山下の猛追を1差で退けた。22年川崎春花、23年神谷そらに続く、2003年度生まれ“ダイヤモンド世代”による大会3連勝。「去年は同学年がいっぱい優勝して、自分も頑張らなければと思っていた」と胸を張った。
4日間平均飛距離271・5ヤード(2位)のドライバーショットに、フェアウェーキープ率も高水準の75%を記録。フェード(左に打ち出し右へ落とす)ボールを存分に生かし、メジャーのコースを攻略した。もともとは、右から左へ落ちるドローだったが、中学終わり頃から自然とフェードになった。「ターゲットより左を向いた方が振りやすい」。プロゴルファーの母・哲子(さとこ)さん(56)が「最初は安定感がなかったが、今は曲がり幅が少ない」と評するように武器とした。
4月のヤマハレディースでは最終日に逆転負けし、母が運転する帰りの車で涙した。2週後の地元・熊本での試合から2連勝。海外メジャー4戦を経験し、2週連続となる6勝目で国内メジャー覇者に。大会記録に並ぶ19アンダーに加え、今大会の4日間完全Vは日本人初の快挙だ。記録ずくめのビッグタイトルで3年シードも獲得。「来年は考えていないが、いつか米ツアーに挑戦したい」と世界を見据えた。
初の年間女王を狙うメルセデス・ランクは466・61ポイント差で首位を独走する。「毎週ベストを尽くして、年間女王になれたら」。この秋には故郷に新居が完成するという21歳。勢いは止まりそうにない。(岩原 正幸)
◆竹田が達成した記録
▽年間6勝 史上10人目(シーズンでは、11人目)。21試合目での到達は不動裕理、宮里藍に次ぐ歴代4位のスピード記録。ツアー初優勝からの年間6勝は、89年小林浩美以来、史上2人目の最多タイ。通算6勝の21歳159日の達成は年少6位。
▽今大会の4日間完全V(※82年以降) 日本人初。過去にト阿玉(85年、台湾)、辛ヒョン周(08年、韓国)、申ジエ(18年、韓国)の3人だけ。
▽大会最多アンダーパー 21年稲見萌寧の通算19アンダーに並んだ。
▽2週(以上)連続Vの同一年2度達成 ゴルフ5レディスと今週の連続優勝は、4月に続く2度目。過去に15年のイ・ボミ(韓国)、19年の鈴木愛(2連勝&3連勝)の2人で史上3人目。
▽生涯獲得賞金2億円突破 年少8位で達成。
(データは※を除き、88年ツアー制施行後)
◆竹田 麗央(たけだ・りお)2003年4月2日、熊本・合志市生まれ。21歳。6歳の時、母の影響でゴルフを始め、熊本国府高1年時の19年九州ジュニアで優勝。1993、94年の賞金女王・平瀬真由美は母の妹で叔母にあたる。21年11月のプロテストに合格し、22年ツアー参戦。趣味は野球観戦で、好きな選手は巨人・坂本勇人内野手。166センチ。家族は両親と兄、弟。