2024JNJGインターナショナル・ジュニアクラシック
10月1日から4日間、豪州NSW州のサイプレスレイクスG&CCで2024JNJGインターナショナル・ジュニアクラシックが行われる。
今大会には東路敏(熊谷市立大幡中3年)と大久保友貴(千葉日本大学第一中3年)が男子の部、鈴木能々子(目黒日大高3年)、佐藤彩葉(埼玉栄高1年)が女子の部に出場する。
選手らはゴルフの試合はもちろん、海外渡航自体が初めて。豪州に向け、期待と不安をまじわせ9月27日(金)の羽田発で豪州に向かった。
9月27日に羽田空港を出発し、10月6日に帰国した今大会。機中泊2泊があったが、毎年あっという間に終わってしまうが、相変わらず中身は濃い気がする。
今大会に出場した4選手は全員初めての海外試合で日本と芝種が違うコース、海外選手やルーリングで競技委員を相手に言葉が上手く通じず、四苦八苦する場面があったり、本来の実力が思うように発揮できなかった部分も多かったと思うが、選手にとって「海外はもうこりごり」、「海外にもっと挑戦したい」、「雰囲気が好き」など、良くも悪くも今回思い切って海を渡り、“経験”したことがゴルフにおいても私生活においても新たな気づき、挑戦意欲を掻き立てたのではないかと思う。何事も経験してみないことには向き不向きは分からず、将来プロゴルファーを目指す4選手にとってはもう一段階ステップアップできた貴重な機会であってほしいと願い、今後の活躍に期待したい。
◎成績
■15-17歳男子総合の部
1位:-9、279、ジョサイア・エドワーズ
2位T:-7、281、アルフィー・ワード
2位T:-7、281、ライアン・シェ
■15-17歳女子総合の部
1位:-11、281、レーガン・デントン
2位:-7、285、レイチェル・リー
3位:-4、288、キム・ジュウォン
◎4日間をプレーした選手コメント
■大久保友貴
>20オーバー、68位の結果、4日間を振り返ってみてどうですか?
2日目から4日目はスコアが良くないにしても踏ん張れたかなと思う。初日のスコアがもったいなかった。
>今回初めて海外のコースをプレーしてみてどうでしたか?
コース自体はそこまで難しいわけではなかったが、グリーンの傾斜が凄く強くて、セカンドショットの落とし場所をしっかり考え、(ボールを)そこに落としていかなければならないこと、芝種が日本と違いアプローチが難しかった。
>海外選手との交流も含めて、海外試合に出場してみていかがでしたか?
日本と違い、カッチリしていない雰囲気が凄くよかった。例えばティーショットとか準備ができた人から当たり前のように打っていくこととか。日本だとプレー中、プレー後は初対面の選手と話すことはほとんど無いが、海外選手はプレー前、プレー後に気さくに話しかけてくれて、ON、OFFの切り替えができていて楽しかった。
>今後、海外の試合に出場してみたいと思えましたか?
海外の試合の方が、他選手の交流、プレースタイル、雰囲気が楽しいし、自分には合っていると感じました。豪州だけでなく、他の国の試合にも出場してみたいと思いました。
>海外選手とプレーしてみて参考にしたいことはあった?
1日目、2日目に最終的に優勝争いをしていた選手と同組でプレーしたが、自分のプレースタイルは手堅く、例えばパー5のホールでは2打目はほとんど(グリーンを)狙わず刻んでいく。海外の選手はティーショットをドライバーで確実に振り切る。仮に曲がってもそこから考え、リカバリーしてくる。良くも悪くもあまり深く考えていないところがあるが、自分は考えすぎる所があるので、もう少し気持ちを楽にじゃないけどマネをしたいと思いました。
■東路敏
>26オーバー、81位タイの結果、4日間振り返ってみてどうですか?
1日目は海外の雰囲気に慣れなくてスコア面も苦戦しましたが、2日目に同組の選手と携帯の翻訳アプリを使って積極的にコミュニケーションを取るようにして、雰囲気も良くなりました。3日目は成績に応じ組合せが変更となり不安だったが、2日間の経験から海外選手とのコミュニケーションがスムーズだったが、4日目はまた違う選手との組合せにより、上手くコミュニケーションが取れなかった。もっと英語を聞き取れて話せるようになりたいと思いました。
>そのなかで大会3日目に1アンダーでプレーしました。いかがでしたか?
2日間プレーして芝に慣れ、コースマネジメント(攻略)も分かってきた。またグリーンのタッチが合ってきた結果だと思います。
>初めての海外のコース、試合の雰囲気はどうでしたか?
(日本とは)芝が違うことで打ち方が難しかったです。ラフは長くないですが、フェアウェイが硬いので、ランが出て、ボールが林に入ることが多かったです。グリーンの芽は強くないですが、早くてビックリしました。
大会の雰囲気は、日本の場合、スタッフの方達も堅い雰囲気なのですが、海外のスタッフの方達は朝の挨拶からよく話しかけてくれて、フレンドリーでした。コミュニケーションが取りやすく、朝から楽しい気持ちで試合に臨めて凄く良かったです。
>海外選手との交流も含めて、海外試合に出場してみていかがでしたか?
海外の選手は(グリーン)カラーからのパッティングだったり、ランニングアプローチの打ち方、バリエーションも豊富で上手でした。気持ちの面でも強気で、それは普段の生活からも感じられました。初対面の選手にも自分から積極的にコミュニケーションをはかり、自分にストレスをため込まない感じがしました。ミスをしても切り替えが早く、次のホールに引きずらないことが見ていて勉強になりました。
>初めて海外の試合に出場してみて、今後、また海外の試合に出場してみたいと思えましたか?
向こう1年はいいかなと思います。この1年で英語をしっかり勉強して、海外選手とコミュニケーションが取れるようになって、気持ちに余裕をもってゴルフがしたいと思います。英語が聞き取れず、上手く話せなかったことで、気持ちの面で8割くらいダメージがありました。ゴルフでミスしてボギーを打っても「ま、いっか」となってしまった。次に海外で試合をする機会があれば、しっかりゴルフに集中して、コミュニケーションがとれたうえで海外に再チャレンジしたいと思います。
■鈴木能々子
>31位タイ、15オーバーという結果、4日間振り返ってみていかがでしたか?
4日間、課題が沢山見えたし、悔しい気持ちが大きいです。(課題は)ショットが荒れてたというのもありますが、その後のアプローチ、リカバリーが上手くいかなかった。日本と違い下が硬かったりして上げるアプローチが自分のイメージと違ったアプローチになってしまい、思うようにリカバリーができなくて、ボギー以上のスコアの積み重ねが多かったです。とにかく上手くリカバリーができないことが課題だと思いました。
>初めての海外試合、選手とラウンドしてみていかがでしたか?
海外選手は(ティーショットを)打つ順番とか準備出来た人からどんどん打っていくし、スピーディーにプレーしていたのが、自分には合っていて、淡々とプレーしているのが凄く良いと思いました。海外選手は飛距離が飛ぶから羨ましいな(笑)。
今大会は最年長(高3)で参加し、来年は大学生になる予定ですが、年長者として参加した3人にエールをお願いします。
来年も豪州に来たいと思うので、報知ジュニアで優勝をして、この大会でしっかりリベンジをして欲しいと思います。
>一つ屋根の下での共同生活はいかがでした?
一言で言うと大変だった。色々事件があったから(笑)。ただ、この生活があったからこそ次に似たような機会があったら「自分はこうしなきゃいけないんだ」と気付くし、学べたと思います。
■佐藤彩葉
>17オーバー、31位タイの結果、4日振り返ってみていかがでしたか?
悔しいです。そんなに難しいコースではないので、もっと上手くまとめてアンダーを出せたんじゃないかなと思っています。
(原因は)日によって悪いところが違うのですが、ショットが悪い日があれば、パターが悪い日もあったり、運がない日もあったりです。
>初めての海外試合、海外選手とプレーしてみて大会雰囲気も含めいかがでしたか?
海外選手はミスしても余裕がある感じがした。私は何回かミスすると余裕がなくなっちゃうし、上手く切り替えられなくて引きずってしまった。(海外選手は)そういう所が凄いなと思いました。
技術的には飛距離の差を感じました。飛ばすし、目の前でパー4を1オンされたらちょっとビビりました。
>4日間皆で共同生活してみていかがでしたか?
色々大変だったけど、このメンバーで良かったと思っています。
>来年にリベンジしてみたい気持ちはありますか?
来年も報知ジュニアに出場するつもりでいて、(日程が合えば)またこの大会に出場して次は上位に入りたいと思います。
>(来年出場するにあたり)1年後の自分はどのようになっていたいですか?
アンダーが頻繁に出せるようにして、飛距離を250ヤード以上飛ばせるように体力アップして、小技を磨いてチップインがドンドン出せるようにしていきたいと思います。
【10月3日(木)、3日目】
サイプレスレイクG&CC(豪州・SNW州)
15-17男子の部、143人参加、6129メートル(約6703ヤード)、パー72
15-17女子の部、65人参加、5358メートル(約5860ヤード、パー73)
大会3日目から成績順で組合せが組まれ、東が午前6時55分OUTスタート、大久保が7時55分INスタート、鈴木が11時50分OUTスタート、佐藤が午後12時50分INスタートでティーオフした。
この日気を吐いたのは東。1イーグル、1バーディー、1ボギーの71、1アンダーのトータル16オーバーで順位を前日の111位から72位まで押し上げた。スタートホールの1番パー5の1打目を会心のあたりでフェアウェー真ん中を捉えると2打目をピン1メートルにつけイーグルを奪取。その後も粘り強くプレーし、自身初めてのアンダーでプレーし本来の実力を発揮。「ようやく海外の環境に慣れてきました」と物怖じせず、あまり得意ではない英語で積極的に海外選手とコミュニケーションを図ることで、日本にはない“カジュアルな雰囲気”で自身もリラックスしてプレー出来た。「最終日もアンダーで回りたいです」と更なる爆発を誓った。
大久保は3オーバー、75で着実にスコアが良くなっていき、トータル17オーバー、78位タイと前日の94位タイからこちらも順位を押し上げた。「ボギーの原因はほとんど3パットによるもの。グリーンが速いので調整して明日はアンダーで回りたい」と意気込んだ。
鈴木はこの日4バーディー、1トリプルボギー、3ダブルボギー、3ボギーの81とスコアを大きく崩した。アプローチ、パターが寄らず入らずで苦戦。順位も前日から落とし31位タイで最終日を迎える。「パター練習に行ってきます」とラウンド後はすぐに調子が悪かったパターの改善に取り組んだ。
佐藤は今大会自己ベストの2バーディー、4ボギーの75で回りトータル10オーバー、30位で3日目を終えた。ベストスコアにも本人はショットの調子が悪く不満。「最終日はアンダーを出したい」と自己のベストスコア更新を目指す。
女子の部は地元NSW州のレイチェル・リーで10アンダー、男子の部はライアン・シェ(ニュージーランド)が7アンダーで首位に立っている。
【10月1日(火)、1日目】
サイプレスレイクG&CC(豪州・SNW州)
15-17男子の部、143人参加、6129メートル(約6703ヤード)、パー72
15-17女子の部、65人参加、5358メートル(約5860ヤード)、パー73
男子の部に出場した東路敏、大久保友貴は揃って10オーバーの82、120位タイ、女子の部に出場した鈴木能々子はイーブンパーの73で10位タイ、佐藤彩葉は3オーバーの76、29位タイで初日を終えた。
乾燥し過ごしやすい晴れの気候のなか、この日は遅いスタートの11時台から10分間隔でそれぞれスタートした。
先週豪州は雨が続き、昨日の練習ラウンドはぬかるみが散見していたが、2日間の晴天により本来のオーストラリアのコースらしく地面が固くなり、予想より転がるラン、日本と違いアイアンショットで上手くターフが取れないなど、思うようなプレーをさせてもらえなかった。また、選手が口を揃えるのは“海外ならでは”の言葉の問題。「英語で話しかけられて意思疎通ができない」ともどかしい。しかしこれも経験と割り切って初日の課題をクリアし2日目以降の活躍に期待したい。
女子の部の首位は南オーストラリアのレーガン・デントンが7アンダー、66で2位に3打差をつけた。男子の部はジャヤワルダナ・ドルナン(インドネシア)とティ・フォックス(豪州NSW州)が5アンダー、67で発進した。
〇鈴木能々子
「日本と芝が違い、距離感が大分変わる。地面が固いからドライバーのランが出て飛ぶため、ボールの止まる場所が想像と違った」ショットに関しては「方向性が良かった。次のショットに繋げることが出来た。パターの距離感が合わなくてバーディーチャンスを外したことが悔しい。今日はアンダーで回りたかった」。海外選手について「球を曲げてもリカバリーが上手で、最後はスコアをまとめてくるのが凄い」順位的には悪い位置ではないのでスコアを伸ばして順位を上げていきたい」と2日目以降の活躍を誓った。
〇佐藤彩葉
「出だしボギーでどうなるかと思ったが、次のホールでバーディーが取れて落ち着けた」と前半はイーグルを奪うなど一時は首位に立ったが、後半に入ると、2ダブルボギーもあり苦戦した。原因はマネジメント。「パー5の2打目を会心のショットをしたのにバンカーに入れてしまった。番手を間違えました」と悔いが残る。但しパターと100ヤード以内のアプローチの調子が良く、2日目以降の修正に期待がかかる。「英語で話しかけられても分からず、もどかしかった」と話しかけられても返せない申し訳なさが残った。ただ海外選手はすごく優しかった」と少ないコミュニケーションの中でも良い雰囲気は残せた。
「(遅いスタート時間になる)明後日の朝が楽になるように、アンダーで回りボギーを出さずに頑張りたい」と明日へ向け意気込んだ。
〇大久保友貴
「日本と違う芝に苦戦して、パットのラインも自分の思ったラインと違った。ティーショットは狙ったところに打てて調子は良いが、2打目以降のクラブが芝に入っていかず、ハーフトップ気味にクラブが入り、縦の距離感が合わなかった。アプローチ、パターも微妙でボギーを重ねてしまった」また初めての海外試合で外国人選手とのやり取りも「優しく対応してくれてやりやすかった」と苦にしていない。
「調子自体は悪くないので、深く考えずシンプルに考えて、パーを積み重ねている間にバーディーが取れれば良いと思う」と目の前の一打に集中することを誓った。
〇東路敏
「芝に対応出来なかった。2つのトリプルボギーが凄く悔しい」ナイスショットも着弾後のランが想定以上に伸びて木が下に入るなど不運が続いた。「パターも全然入らなかった」と1メートル以内のショートパットも外すなど流れが悪くなった。またルーリングが必要なときに言葉の壁に直面。「やっぱり喋れるようにならないとですね」と下を向くもホールアウト後はパター練習、打撃練習を暗くなるまで続け、2日目以降の巻き返しを誓った。
【10月2日(水)、2日目】
サイプレスレイクG&CC(豪州・SNW州)
15-17男子の部、143人参加、6129メートル(約6703ヤード)、パー72
15-17女子の部、65人参加、5358メートル(約5860ヤード)、パー73
昨日とスタート時間の入替により大会2日目は早いスタート時間となった。第1組目に大久保が6時15分にスタートすると以降、10分間隔でスタート。起床は4時、練習開始時刻は5時からとなった。気温は14℃と一気に眠気も吹き飛び選手らは元気にスタートしていった。
男子の部に出場の大久保は4オーバー、76、トータル14オーバーで94位タイ、東は7オーバー、79、トータル17オーバーで111位タイとしそれぞれ初日から順位を上げた。
女子の部は初日イーブンパー発進の鈴木が2オーバー、75で15位タイ、佐藤は5オーバー、78で29位となった。
【9月28日(土)】
午前9時30分頃にシドニー空港に到着すると、この日宿泊するCKSシドニーエアポートホテルに荷物を預け、長時間のフライトに疲れた様子も見せず、シドニー市街へ観光に出かけた。
オーストラリアを代表する観光スポットのオペラハウス、反対側にあるハーバーブリッヂが一望できるサーキュラキーからロックス、中心地を通って最後はチャイナタウンまでを歩きながら、町の風景、歴史を感じながら試合前の束の間の時間を楽しんだ。
【9月29日(日)】
朝9時30分に他国選手と一緒に大型バスに乗り、試合会場のサイプレスレイクスG&CCに向けて出発。同コースは世界的にも有名なワインの産地、ハンターバレーにあり、ぶどう畑、数多くのワイナリーなどのどかな風景を眺めながら到着。
宿泊はリゾートコースらしく、敷地内に数多く点在する2階建てのヴィラ。今回は「743号室」が与えられ、これから6日間、1つ屋根の下で共同生活がスタートした。荷ほどきもそこそこに早速ドライビングレンジで70球ほど打ち込みを開始し、芝の感触、スイングを入念にチェックした。
【9月30日(月)】
4人初めての海外試合に向け、この日午前9時10分、1番ホールから練習ラウンドがスタートした。4人和やかな雰囲気のなか、しっかりヤーデージブックにメモを書き込み、パター、バンカー、アプローチなど明日の初日に向け入念なコースチェックを行った。途中、カンガルー親子と遭遇し、“オーストラリアならでは”の歓待を受けた。調子は良くこの後夕方に行われる開会式で一層気が引き締まることだろう。