小祝さくらに巨人レジェンドの金言「謙虚過ぎるのもよくないよ」 初の年間女王へ 開幕直前インタビュー


今年1月のハワイ合宿でグラブを頭に乗せ笑顔を見せる小祝(右)と竹田(提供写真)

今年1月のハワイ合宿でグラブを頭に乗せ笑顔を見せる小祝(右)と竹田(提供写真)

 女子プロゴルフツアー開幕戦のダイキンオーキッドレディスは、6日に沖縄・琉球GCで初日を迎える。ツアー通算11勝で昨季メルセデス・ランキング4位の小祝さくら(26)=ニトリ=が3日までにスポーツ報知の単独インタビューに応じ、初の年間女王が懸かる新シーズンへの思いを語った。ランキング上位5人中4人が米国に主戦場を移し、新たな覇権争いが繰り広げられるシーズン。プロ野球の前巨人監督・原辰徳氏(66)、オリックス・山崎颯一郎投手(26)から得た刺激と学びを生かす。(聞き手・高木 恵)

 ―昨季の自己評価は。

 「昨シーズンは…どんな感じでしたっけ…あんまり覚えていないんですけど…」

 ―2勝挙げたが…

 「あ、そっか。意外と充実していました。でも(シーズン)後半に伸ばしきれなかったので、その辺が、うまくできたらなっていう感じの1年でした」

 ―オフの取り組みは。

 「去年の課題の100ヤード以内の距離感だったり、アイアンの精度を、もうちょっと上げたいなとか。開幕に向けて調子を上げられるようにやってきました」

 ―2月の宮崎合宿中に雑誌の企画でオリックス山崎颯一郎と対談したとか。

 「『心技体』何を一番大事にしていますかみたいな話になった時に、山崎選手は『技』だったけど、自分は『体』っていうのとか。色々他にもたくさん(笑)。あとは調子が悪くなった時の直し方とかを話したかな」

 ―参考にできそう?

 「それが、一緒の考え方だったんです。結局、不調に�\x81\xAAって、色々試したりするんですけど、スイング動画撮って、あ、ここがこうなってなるとか色々思うじゃないですか。思って直すけど、結局は基本に戻る。毎回色々試すけど、最終的にはそこに戻ってくるっていうのが一緒でした」

 ―同じアスリートとして山崎の魅力とは。

 「魅力は全部なんですけど。強いて言えば、えくぼとか。異次元のレベルのスタイルでかっこよくて、野球もできて、もう言うことなしみたいな感じの人で。すごいなって思っています」

 ―他にもオフに学びの場はあったか。

 「原辰徳さんと、ご飯に行かせていただきました」

 ―原さんから何か金言。

 「ありました。謙虚すぎるのもよくないよ、っていう話が印象に残っています。食事会は10人ぐらいいたんですけど、みんなで話しているなかで、自分が今まで経験してきた上での話をしてくださって。自分で『謙虚にしないと』とか、そういうのはしない方がいいと思うみたいな感じで、みんなに語ってくれました」

 ―今後に生きそう。

 「そういうことを考えたこともなかったので、そういう考えもあるんだってすごい思いました。原監督が言うと説得力があります」

 ―長年にわたって安定した活躍。モチベーションは。

 「モチベーションは野球とか…野球観戦していると、自分も頑張ろうって。すごいなんかパワーをもらえます」

 ―仲がいい昨季年間女王の竹田麗央と1月にハワイで自主トレ。竹田は米ツアーメンバー初戦で8位と健闘した。刺激に?

 「そうですね。あの試合も、すごい応援していました」

 ―日本と米国で頑張ろうという話は。

 「あんまりゴルフの話、そんなにしないので…。何喋りますかねえ。野球の話。あと、麗央ちゃんと今度海外旅行に行ってみたいね、みたいな話をしました」

 ―行ってみたい国は。

 「2人で行きたいねってなった場所は…あ、どこだっけな…。なんか言ってた、どこか言ってたんですよね1個。でも忘れちゃった」

 ―ヨーロッパあたり?

 「いやあ…あ、トルコかな。トルコ、たしか。でも、麗央ちゃんが韓国も行きたいって言っていて。だから、行きたいねって言いました」

 ―部門別で今季達成したい数字は。

 「パットのランキングとか、トータルドライビングとか、パーオン率とか、上位でいれたらなって思うぐらいですね。でも毎年できずに終わるんですけどね(笑)」

 ―昨年のメルセデスランキング上位3人が米国へ。初の年間女王へ意識は。

 「いや、してないですね。してもしょうがないので。ふふふ。そういうチャンスが来たら、その時にまた考えるっていう感じで付き合っています。またイチからなので、目の前の試合を頑張っていかなくちゃ。まずは複数回優勝が目標です」

 ◆1998年度生まれの「黄金世代」 米ツアー6勝で日米11勝の畑岡奈紗、国内8勝の勝みなみ、日米7勝の渋野日向子、国内5勝の原英莉花らツアー優勝者数は歴代最多15選手を誇るが、年間女王(賞金女王)になった選手はいない。

 ◆小祝 さくら(こいわい・さくら) 1998年4月15日、北海道・北広島市生まれ。26歳。8歳でゴルフを始める。飛鳥未来高卒業後の17年、プロテストに一発合格。19年7月のサマンサタバサレディースで「黄金世代」8人目のツアー優勝を飾り、生涯獲得賞金は7億6520万4953円。好きな色は黄。趣味は音楽、ライブ、食べること。158センチ、58キロ。

 ◆今季の国内勢力図 昨季年間女王の竹田麗央(りお、21)、22~23年戴冠の山下美夢有(みゆう、23)、岩井明愛(あきえ、22)のメルセデス・ランキング上位3人が主戦場を米国に移した。同4位の小祝さくらが最上位者としてシーズンを迎える。同5位の岩井千怜(ちさと、22)も米国へ。昨季は竹田が8勝、山下は2勝、岩井明愛と千怜がそれぞれ3勝で37戦中16勝を挙げていた。

勝ったら出るか!?グータッチ…取材後記

 小祝の発言は「小祝節」だとか「天然系」と言われることが多い。今回のインタビューでも3度、質問に対して「あまり覚えていないんですけど」をお見舞いされた。本音だから面白いし、癒やされる。

 オフを過ごす中で、原辰徳氏の「謙虚にしようと思い過ぎるのもよくない」という言葉が刺さったようだ。内に秘める強さは人一倍だが、闘志前面というタイプではない。ツアーでのプレーオフは過去3戦全敗。11勝を挙げながら、それらしいガッツポーズも見たことがない。

 原氏からは「ガッツポーズしたことないの? 次は勝ったらグータッチだ」とエールを送られた。今季はいつもより貪欲で激しい、新しい小祝が見られるかもと期待している。(高木 恵)

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