姉は通算3勝人気プロ…4度目でプロテスト合格の21歳、女子ツアー初のデビュー戦Vへ2位発進「本当にビックリ」


14番でギャラリーに手を振る吉田鈴。初日3アンダーの好スコアをマークした(カメラ・今西 淳)

14番でギャラリーに手を振る吉田鈴。初日3アンダーの好スコアをマークした(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー開幕戦 ダイキンオーキッドレディス 第1日(6日、沖縄・琉球GC=6610ヤード、パー72)

 国内女子ゴルフの2025年シーズンが開幕した。注目ルーキーの吉田鈴(りん、21)=大東建託=が6バーディー、3ボギーの69をマークし、首位と1打差の2位と好スタートを切った。プロテスト合格後、デビュー戦での初優勝となれば、1988年のツアー制施行後初の快挙。また、姉・優利(24)は通算3勝の人気プロでツアー4組目の姉妹優勝のダブル達成へ向け、大きな一歩を踏み出した。プロ2年目の菅楓華(すが・ふうか、19)=ニトリ=が4アンダー、68で単独首位。

 新シーズンは嵐の中で幕を開けた。この日の平均スコア「76・1296」の中、新人の吉田鈴が「69」といきなり存在感を発揮した。雨が降り続け、最大瞬間風速15・4メートル、正午時点の気温は14・4度とタフな条件下での上位発進に「本当にビックリ。初日に崩すことが多かったが、成長した」と笑顔で胸を張った。16番で15メートルのバーディーパットを沈めるなど、パット数は「27」とオフに強化してきたグリーン上で光った。

 得意のアイアンも好調だった。10番から出て、11番パー5。残り70ヤードの3打目をピン手前1メートルにつけ、プロ初バーディーを奪った。今季ツアーのバーディー第1号にもなり「狙っていなかったけど、めっちゃうれしい」とほほ笑んだ。その後は出入りが激しくなったが「寒くて体の感覚が鈍い部分があった」というハーフターンでウェアを着替え、カイロを貼った。これで安定感を取り戻し、最終9番は左ラフからの2打目で8アイアンを振り抜き、ピン右1メートルにピタリ。見事なバーディー締めで、ファンから大喝さいを浴びた。

 プロテストは4度目で合格の苦労人だ。3度目受験の23年は2次落ち。コーチで男子ツアー7勝の今野康晴(51)は「一番つらそうだった。�\xBC\x88本人は)絶対通ると思っていたから、かける言葉がなかった」と振り返った。昨年も初日に79をたたき、90位と出遅れ。そこから巻き返し、ギリギリの19位で合格した。プロとして初出場したこの日は「いい緊張感だった。でも、プロテストに比べたら(大丈夫)」と笑い飛ばした。

 プロテスト合格後、デビュー戦で優勝した日本人はいない。さらに福嶋、堀、岩井姉妹に続く4組目の姉妹Vのチャンスも早くも巡ってきたが、「まずは予選を通過しないと」と浮足立ってはいない。「シード権獲得と1勝」を目標とする今季。アマチュア時代は一度も優勝のなかったルーキーが、歴史的な開幕戦Vに挑む。(富張 萌黄)

 ◆1988年ツアー制施行後の日本人最速優勝 2020年8月、NEC軽井沢72の笹生優花(19歳57日)の2戦目が最速。JLPGAプロテスト合格後のデビュー戦V達成者はいない。10年3月の開幕戦だったダイキンオーキッドレディスで当時、韓国ツアー7勝のアン・ソンジュ(22歳188日)=韓国=が、日本女子ツアー唯一のデビュー戦Vを達成した。

 ◆吉田 鈴(よしだ・りん)

 ▽生まれ、サイズ 2004年2月21日、千葉・市川市。21歳。153センチ、48キロ

 ▽ゴルフ歴 日本ツアー3勝の姉・優利の影響で6歳から始める。千葉黎明高―日本ウェルネススポーツ大。21年、日本女子アマ4位。24年7月の大東建託・いい部屋ネットレディスで自己最高10位。同11月、4度目の挑戦でプロテスト合格

 ▽家族 両親、日本ツアー3勝の姉・優利(24)、兄

 ▽好きな色 水色、白

 ▽好きな有名人 ユーチューバー・ふくれな。「メイクが好きで見る」

 ▽好きな歌手 ONE OK ROCK

 ▽スポーツ歴 フットベースボール、水泳

 ▽趣味 猫カフェに行くこと

最新のカテゴリー記事