
最下位スタートの須藤弥勒はホールアウト後、サインを求めて大行列をつくったファンに第2日の巻き返しを誓った
◆女子プロゴルフツアー Vポイント×SMBCレディス 第1日(21日、千葉・紫CCすみれC=6668ヤード、パー72)
第1ラウンドが行われ、青木瀬令奈(リシャール・ミル)が67で回り、首位スタートを切った。1打差の2位に吉田優利(エプソン)と木村彩子(コンフェックス)が続く。渋野日向子(サントリー)3打差4位と好発進した。
* * *
史上初めてジュニアメジャー4冠を達成し「天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(ゴルフ5/太陽自動車)は、バーディーなし、8ボギー、4ダブルボギーの88と大苦戦し、最下位の108位となった。13歳はゴルフ人生で最大の屈辱を味わったが、ホールアウト後にはサインを求めて長蛇の列をつくったファンに感謝し「応援してくれる方々のためにも最後まで頑張ります」と第2日(22日)で巻き返しを誓った。
練習ラウンドでは好調だったドライバーショットが乱れた。10番からスタートした弥勒は、いきなりダブルボギー。前半は4つのダブルボギーをたたき、46と大きく崩れた。ショットの不調は得意のパットも狂わせ、4回も3パットを喫して37パット。見せ場なく第1ラウンドを終えた。
「今まで打ったことのないほど打ち、予選通過は難しくなってしまいました」と弥勒は肩を落とした。
大乱調の要因のひとつは、父・憲一さんの判断ミスだった。前日(20日)にキャディーを務める母・みゆきさんから「ドライバーショットの弾道が高い」という報告を受けた憲一さんは弥勒にドライバーの微調整を提案。「私がロフト角を1度立てることを提案した結果、ドライバーショットが大きく崩れてしまいました。試合をぶち壊したのは私です」と憲一さんは頭を抱えて話した。
ただ、ゴルフという競技は、クラブ選択を含めて、すべてが選手が最後の責任を負う。弥勒自身は一切、言い訳をすることはなかった。
失意の弥勒に力を与えたのは、ファンだった。ホールアウト後、サインを求めるファンが長蛇の列をつくり、弥勒は約30分、ペンを走らせた。「こんな成績なのに応援してくれる方々がたくさんいて、とても、うれしいです。励まされました。明日(22日)はドライバーを元に戻して、ちゃんとしたスコアで回り、ファンの皆さんに恩返しをしたいです」と13歳は懸命に前を向いて話した。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。13歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。22年8月に横峯良郎氏に弟子入り。22年1月からアマチュアも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、ダブル所属契約のゴルフ5と太陽自動車をはじめ計16社に推定総額3億6000万円以上の支援を受ける。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。