37度超の発熱も藤田さいき首位守った 前日は39度超え…薬取りに戻ってくれた夫に感謝


ホールアウトし、同組の金沢と握手を交わす藤田さいき(右)

ホールアウトし、同組の金沢と握手を交わす藤田さいき(右)

◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第3日(10日、茨城GC東C=6675ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 3年ぶりの通算7勝目を狙うプロ20年目、39歳の藤田さいき(JBS)が6バーディー、1ダブルボギーで68をマークし、通算10アンダーで初日からの首位を守った。大会中、高熱に見舞われながら奮闘。メジャー最長ブランクの15年ぶり制覇へ王手をかけた。また、18年大会覇者の申ジエ(37)=韓国=は2打差で2位につけ、どちらが優勝しても大会最年長Vとなる。

 雨にも負けず、高熱にも負けず、藤田が2度目のメジャー優勝へ王手をかけた。37度超の発熱をはねのけ、16番から3連続バーディー締め。最後はサングラスを外し、ほっと一息ついた。「100点ですね。上手でしたね」と優しい口調で自身を褒めた。

 首位を守って迎えた9番パー5。「ぼーっとしていた」と6オン1パットのダブルボギーを喫し、一時首位から陥落。8番の第1打後に服用した薬が効き、後半は集中力を取り戻した。12番で7メートルのフックラインをねじ込み、終盤7ホールで5つスコアを伸ばす猛チャージでよみがえった。

 前週から高熱に見舞われた。9日の第2ラウンド後には「できないかもってレベル。39度の熱があった」と練習せず、休養を優先。オンライン診察を受け、ドクターストップがかかるも「メジャーじゃなかったら、100%休んでいる」と今大会に懸ける強い思いが、39歳を突き動かした。

 強い味方がいる。大会中はトレーナー兼マネジャーの夫・和晃さん(39)が時間をかけてマッサージ。食欲がない藤田のためにゼリー、うどんなど消化がいいものを用意してくれた。和晃さんは前日夜、茨城から数時間をかけて東京へ解熱とせき止めの薬を取りに行くなどサポート。「(一人では)絶対無理だった。かなり支えられている」と感謝の気持ちでいっぱいだ。

 メジャーVは10年日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯以来、福嶋の11年を上回る最長ブランクの15年ぶり。当時のことは「覚えていない。15年たってますから」とおどけたが、13年茂木宏美の36歳17日を更新する大会最年長優勝もかかる。

 最終日11日は母の日。母・みゆきさん(63)はリウマチのため応援には来られないが、「テレビで見ている。頑張ってる姿を見せられたら」と、大会史上2人目となる完全Vを届けたい。宮里藍さんと同い年で、女子ゴルフ界を支えてきた藤田が、15年ぶりの歓喜を味わう。(森脇 瑠香)

 ◆藤田 さいき(ふじた・さいき)1985年11月22日、静岡・沼津市生まれ。39歳。14歳からゴルフを始める。2005年からツアー登録され、06年プロミスレディスで初優勝。同年プロテスト合格。10年の日本女子プロ選手権でメジャー初優勝。22年大王製紙エリエールレディスで歴代2番目(当時)となる11年35日ぶりのブランクV。16年シーズンから「読み間違いが多い」ため登録名を「藤田幸希」から現在の名に変更。歴代最多のホールインワン7度達成。通算6勝。趣味は釣り。168センチ、68キロ。

 申ジエ 18年覇者がこの日のベストスコア67をマークし、トップと2打差の2位に浮上。「集中力がよかった。終わるまでスコアが分からないぐらい集中できていた。明日、優勝したい」と笑顔で7年ぶり戴冠を宣言した。18年は西コースで優勝。大会初の「東西制覇」を目指し最終日を迎える。「まずは今日みたいな、いいゴルフをしたい」と元世界ランク1位の37歳。茂木宏美の36歳17日を上回る大会史上最年長優勝の記録を、39歳の藤田さいきと争う。

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