プロ10年目悲願の初V…阿久津未来也を支えた日大先輩レジェンドからのメッセージ


仲間から水をかけられて祝福される阿久津(カメラ・谷口 健二)

仲間から水をかけられて祝福される阿久津(カメラ・谷口 健二)

◆ミズノオープン 最終日(1日、岡山・JFE瀬戸内海GC=7461ヤード、パー72)

 首位で出た阿久津未来也(みきや、30)=フリー=が4バーディー、3ボギーの71で回り、通算13アンダーで初優勝を果たした。日大の大先輩で永久シード保持者・片山晋呉(52)の激励に発奮し、節目のプロ10年目で初勝利を挙げた。4打差2位の宋永漢(ソン・ヨンハン、33)=韓国=、河本力(25)=大和証券=の3人が海外メジャー今季最終戦、全英オープン(7月、ロイヤルポートラッシュGC)の出場権を獲得した。

 ようやくつかんだ勝利に阿久津は「感情が忙しい」と子どものように笑った。18番パーパットを沈め「シャーッ!!!」と雄たけび。ウォーターシャワーの手荒い祝福を受け「滝のように水をかけてもらって、最高に気持ちいい瞬間を味わえた。幸せです」と涙を流した。

 最大の決断が最高の結果につながった。子供の頃から「得意なクラブはパター」と言い続けてきたが、ここ数年は苦戦。打破するため、15年使ってきたピン型のパターからL字型に変更した。12番も6メートルのパーパットが面白いように吸い込まれ、首位を死守した。

 大先輩の金言が力をくれた。朝6時。日大の先輩で日本ツアー31勝の片山からメッセージが届いた。「長い戦い。最後までつらい戦いになるけど、しっかり自分でコントロールしろ。球じゃなくて、自分をコントロールしろよ」。4年前からオフの3月に合宿をともに過ごし、30歳の誕生日には「初優勝待っています」と書かれたケーキでお祝いされた。

 憧れの人の期待に応え、「初優勝できました」と目を潤ませ、「決してここはゴールじゃない。一勝目がないと辿りつかないステージがある。海外ツアーも初めての挑戦。どこまで戦えるか楽しみ」と阿久津。先輩の背中を追いかけ、大舞台へ挑む。(森脇 瑠香)

 ◆阿久津 未来也(あくつ・みきや)1995年3月17日、栃木県生まれ。30歳。ゴルフは3歳から始め、作新学院高1年時に関東ジュニア優勝。日大4年時に日本学生制覇。16年にプロ宣言し、17年プロテスト合格。20―21年シーズンに賞金ランク27位で初シードを獲得して以降、継続中。24年は選手会副会長に就任。180センチ、78キロ。

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