
3位からの逆転優勝を狙う石川(カメラ・星野 浩司)
◆男子プロゴルフツアー ANAオープン 第3日(20日、北海道・札幌GC輪厚C=7066ヤード、パー72)
ツアー通算20勝の石川遼(34)=カシオ=が3位で出て5バーディー、ボギーなしの67と伸ばし、通算13アンダーで首位に3打差3位と食らいついた。2日連続のノーボギーで、パーオン率は今大会1位とアイアンショットの精度が高く、自身10度目の逆転優勝に照準を定めた。17日に誕生日を迎え、15年大会以来2度目の“バースデーウィークV”を目指す。ツアー3勝の大槻智春(35)=真清創設=が66と伸ばし、16アンダーで単独首位に立った。
最高気温21度と冷え込んだ北の大地で、石川のショットは激熱だった。圧巻は7番パー4。フェアウェー右バンカーから残り155ヤードの第2打。8アイアンを握り、左から右に曲がり落ちるフェードで1・5メートルに寄せてバーディーを奪った。「今日の内容はかなりガマン、ガマンだった」。好機を決めきれなかった序盤を耐え、上昇気流に乗った。
3日間のパーオン率88・89%は全体1位とアイアンショットの精度は抜群。17番で3メートルを沈め、右手を逆手にして握るクロウグリップのパットもさえた。2日連続のノーボギーに「いい感じでコースを攻められた」とかみしめた。
“脱・尻すぼみ”で上位を死守した。8月の2大会は初日を首位、3位と好発進しながら、2日目以降に失速。「何で尻すぼみで終わるのに、また試合が始まるといいスタートなのか…」と首をかしげていた。賞金ランクは41位だが、平均ストローク70・76は14位。「ずっと悪くないなと思ってやってる。ちょっとかみ合わないとこういう順位になる。層が厚くなってきてる」。若手の台頭を歓迎しつつ、34歳の中堅は背筋を伸ばして技術を磨いている。
過去に9度成し遂げた逆転Vを射程にとらえた。15歳で飾った初優勝も、驚異の「58」で6打差を逆転した10年中日クラウンズも、昨年の20勝目も最終日でまくってきた。今季はトップ10入りが1度のみと苦戦が続く中、3位以内で最終日に臨むのは初だ。21勝目のチャンスが巡ってきた。
中学時代に陸上部に所属した石川は、東京で開催中の世界陸上も「疲れて(中継を)見られてないです」と言うほど大会に全集中している。17日に34歳を迎え、バースデー週の優勝なら15年大会に続く2度目。最終日は悪天候が予想されるが「伸ばし合いになると思う。いいゴルフをしたい」と言葉に力を込めた。(星野 浩司)
◆石川遼の最終日逆転優勝 国内ツアー20勝のうち逆転は9度。アマチュア時代に15歳でツアー初出場した2007年マンシングウェアKSBカップで4打差9位から66で回り、世界主要ツアー最年少優勝(当時)。10年の中日クラウンズは6打差18位から12バーディー、ボギーなしで世界最少スコア(当時)の58をマークし大逆転V。24年の三井住友VISA太平洋マスターズは1打差2位から67と伸ばし、逆転で通算20勝目を飾った。