コーヒーをオレンジジュースに…栄養面から見直した金谷拓実、米ツアー経験生かし今季初V


優勝した金谷(中央)は、ANAのキャビンアテンダントとの記念撮影で笑顔を見せた(カメラ・星野 浩司)

優勝した金谷(中央)は、ANAのキャビンアテンダントとの記念撮影で笑顔を見せた(カメラ・星野 浩司)

◆男子プロゴルフツアー ANAオープン 最終日(21日、北海道・札幌GC輪厚C=7066ヤード、パー72)

 昨年国内ツアー賞金王の金谷拓実(27)=SOMPOひまわり生命=が昨年10月以来の通算8勝目(アマチュア時代を含む)を飾った。7バーディー、2ダブルボギーの69で回り、通算17アンダーで並んだ石川遼(34)=カシオ=とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制し、優勝賞金2000万円を獲得。本格参戦した米ツアーで予選落ち16回と苦戦中だが、異国での経験を糧に今季初V。メジャー最終戦の日本シリーズJTカップ(報知新聞社主催)の出場権をつかみ、「優勝」を目標に掲げた。

 1メートルのウィニングパットを決めた金谷は、プレーオフで激闘を演じた石川とガッチリ握手した。2打差2位から逆転し、今季は国内ツアー2戦目で初V。「北海道は大好き。優勝できて本当にうれしい」と喜んだ。表彰式ではANAのキャビンアテンダントと笑顔で記念撮影し、優勝カップを誇らしく掲げた。

 ジェットコースターのようなスタートだった。2番で第2打を右に曲げロストボールとなり、ダブルボギー。4連続バーディー後の8番で再びダボを打ったが、相棒のハウスキャディーに「常に平常心で前向きにプレーさせてもらえた」と励まされ、感謝した。強く冷たい突風が舞う中、最終日のフェアウェーキープ率78・57%は全体2位。石川を1打差で追う17番パー5は残り250ヤードから3ユーティリティーで2オンさせ、バーディーを奪う勝負強さを見せた。

 昨年は国内2勝を挙げ、自身初の賞金王。米ツアー予選会を突破し、今季は本格参戦した。だが、異国では困難の連続。一番の課題はアイアンショットの精度で「PGAの選手と比べるとうまく打てず、少しのミスが大きなミスになる」。ただ、16試合で予選落ちと波に乗れない中でも「難しい環境に身を置いて、より努力するようになった。日々少しでも成長を心がけている」と前向きな信念はブレなかった。

 芝の質やグリーンの難易度、食事面や長距離移動…。国内ツアーに比べて環境は激変したが、それでも「(苦労は)特にない。この1年で難しい状況でも受け入れることが大事と学んだ」と言う。1日3杯飲んでいた好物のコーヒーを昨年、大坂武史トレーナーの指導でオレンジジュースに変えるなど栄養面を見直した。

 今季初Vを飾り、日本シリーズJTカップに3年連続出場を決めた。23年は2位、昨年は3位とあと一歩でV逸。「選ばれた選手しか出られない。優勝したことないので、優勝を目指して頑張る」。闘志をギラつかせた。(星野 浩司)

 ◆金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島・呉市生まれ。27歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年時に日本アマ選手権で17歳51日の大会最年少V。東北福祉大で18年アジア太平洋アマ選手権優勝。19年の三井住友VISA太平洋マスターズでツアー4人目のアマV。20年にプロ転向し、同年11月のダンロップフェニックスでプロ初V。今季から米ツアーに本格参戦。通算8勝。172センチ、75キロ。家族は両親と兄。

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