
ANAオープンでバンカーショットする石川遼(カメラ・星野 浩司)
◆男子プロゴルフツアー ANAオープン=18~21日、北海道・札幌GC輪厚C=7066ヤード、パー72
ツアー20勝の石川遼(カシオ)は、通算17アンダーで並んだ金谷拓実(SOMPOひまわり生命)とのプレーオフ(PO)2ホール目で敗れた。2022年に続いてPOで惜敗となったが、今季最高となる2位。最終日は「誤算」と「収穫」が垣間見えた20ホールだった。
PO2ホール目では誤算が一度、二度と重なった。
強烈な向かい風が吹き荒れる中、石川がバッグから抜いたのはPOの1ホール目と同じ3ウッド。強振したティーショットはフェアウェー右のバンカーにつかまった。「かなりアゲインストが強くて、右に少し抜けたのでバンカーに入っても手前側かなと思ったけど思ったより飛んでいた」。ドライバーでバンカーを越すか、3ユーティリティーでバンカーの手前に打つ判断もあったが「マネジメントミスというか、少し悔やまれる」と唇をかんだ。
続くバンカーからの第2打。7アイアンで2回、3回と素振りしたが「風がやんでいた」こと、バンカーのあごに近かったこともあり、8アイアンに変えてフルショットした。「打った時に風が吹いてきて、当たりは良かったけど全然届かなかった」。ボールはグリーンに届かず、手前のフェアウェーに止まった。
誤算は、グリーン上でも続いた。パーパットは1・5メートルの下りスライスライン。10分ほど前、同じ18番でのPO1ホールで上りフックラインの3メートルのバーディーパットが「最後にフックしなかった」と、右カップに蹴られた残像が頭によぎった。今度は逆方向からのパット。曲がらないと読んでカップ中央へ打ち出したが、無情にも右へそれた。
ギャラリーのため息が漏れる中、石川は3秒ほどその場で立ち尽くし、パットしたラインをぼう然と見つめた。「1ホール目の自分のボールの転がりを見てるので、右に曲がるとは読めなかった。2ホール目は、ほんのちょっとずつのズレが全部出た」。金谷の�\xA8彰式が始まる中、クラブハウスの通路で振り返った。
収穫はあった。単独首位で迎えた17番パー5はミスが続き、第5打はグリーン奥のラフからのアプローチ。誰もがボギー以上を覚悟するピンチだったが、フックラインを直接ねじ込み、圧巻のチップインパーを決めた。「かなり緊張したけど、打った瞬間、練習したことができたと思った」と会心のガッツポーズを見せた。
今季から投入したロフト角60度でローバウンスのウェッジでのアプローチ。今年は特に重点的に取り組みながら、ここまで何度もミスが続き、今大会第3日の17番でも寄らなかったが、ここぞの一打で結実した。「試合のプレッシャーの中で練習したことが再現できると励みになる。そこはすごく良かった」と笑みがこぼれた。
今季初優勝、通算21勝目はならなかった一方で、2位フィニッシュは今季最高。賞金ランクは41位→26位に浮上した。「今年、間違いなく一番いい1週間だった。だいぶ自分の内容に対しての評価とスコアがつながってきているところは増えている」と石川。今週のパナソニックオープンは出場しないが、米ツアーのベイカレントクラシックや日本オープンが控える10月以降に向けて、大きな手応えを得た。(星野 浩司)