27歳黄金世代のメンタルモンスター「こっからが女の旬でしょ」…河本結が濃霧の変則ホール制し黄金世代通算60勝


今季2勝目を挙げ、笑顔でバンザイする河本(カメラ・今西 淳)

今季2勝目を挙げ、笑顔でバンザイする河本(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー スタンレーレディスホンダ 最終日(12日、静岡・東名CC=6435ヤード、パー72)

 プロ8年目の河本結(27)=リコー=が今季2勝目、通算4勝目を飾った。濃霧のため最終日は開始が4時間遅れ、セカンドカットで前日までの上位30人に絞り、変則の9ホール(パー36、3285ヤード)に短縮。4バーディー、ボギーなしの32で回り、通算14アンダーで初日から首位を守る完全V。1998年度生まれの「黄金世代」では米ツアーを含めて通算60勝目。自身初の同一年複数優勝でメルセデス・ランクは3位に浮上し、黄金世代初の年間女王へと突き進む。

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 霧が晴れた最終18番。河本は短いパットを決め、両手を高く突き上げた。史上初の変則9ホールの争いで、出だし1、9番で2メートルに寄せて2連続バーディー。開幕前日にへんとう炎に見舞われ、同じ「黄金世代」で米国から凱旋出場した渋野日向子、原英莉花が予選落ちする中で初日から首位を守った。「めっちゃうれしい。米国に行ってる選手と戦えて、勝てたことは自信になる。ゴルフ人生の思い出に残る1勝になった」。昨年2位のリベンジを果たし、白いリボンをなびかせながら笑顔がはじけた。

 朝5時半に起床し、向かったコースは濃霧で覆われた。7時半の競技開始は30分ずつ、7度にわたって遅延。河本は車で仮眠をとり、年間60冊を目標とする読書をして待った。手に取った一冊は「エッセンシャル思考」。99%の無駄を捨て1%に集中する考え方を心に刻んで1番ティーへ。「無になること。ミスしたらボギーと思うのを排除し、目の前の一打に100%集中した」と好スコアを生んだ。

 優勝がかかったパットですら「緊張しなくなってる自分が怖い」。女子ゴルフ界屈指の“メンタルモンスター”だ。週1回、1時間のメンタルトレーニングは欠かさず、試合前日は30分間ほど目をつむり「ピン位置、攻め方、風をイメージする」。18年のプロ転向から米ツアー参戦を経て、14冊目になるゴルフノートに書きためた自身の考え方や経験と向き合い「自分の感情をコントロールできるやり方を持ってるのはすごい強み」と言い切った。

 自身初の年間2勝で黄金世代通算60勝目。「若い子も出てくるけど、黄金世代の27歳なんで、こっからが女の旬でしょ」とほほ笑む。年間ポイントランクは3位浮上。同世代初の年間女王へ「自分がなって、最終戦のリコーカップで勝つイメージを鮮明にしてる」と河本。その目には逆転戴冠への道がはっきりと映っている。(星野 浩司)

 ◆河本 結(かわもと・ゆい)1998年8月29日、松山市生まれ。27歳。5歳でゴルフを始め、松山聖陵高から日体大卒。18年プロテストに一発合格し、19年のアクサレディスでツアー初優勝。20年は米女子ツアーに参戦。21年5月に同ツアーから撤退し、国内復帰。今年8月の北海道meijiカップなど通算4勝。163センチ、58キロ。家族は両親と男子ツアー2勝の弟・力(25)。

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