
初出場で活躍を狙う勝俣陵(カメラ・今西 淳)
◆初出場 勝俣陵(29)=ロピア=パナソニックオープン優勝
2025年シーズンの国内男子プロゴルフツアー最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップは12月4日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりCC(7002ヤード、パー70)で開催される。今季のツアー優勝者をはじめ、賞金ランク上位者ら総勢30人が出場。スポーツ報知では「オレの原動力」と題した連載で、出場予定の選手を紹介する。
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原点は「野球」だ。地元・埼玉で幼稚園の頃に始め、プロ野球・西武のファンクラブに入り、エースの松坂大輔投手に憧れた。甲子園出場を目指して投手や外野手として励んだが、転機は上福岡リトルシニア時代の中学2年時。両膝のけがを抱えながら、試合に出続けた夏頃に訪れた。
「僕がレギュラーから落ちて、新入生が場外ホームランを打って、試合に出られなくなった。モチベーションが下がった」。そんな姿を見かねた父が12月頃、気晴らしに連れて行ってくれたゴルフ練習場で球を打ち「当たると飛んでいくのが楽しい」とハマった。同じ頃、10代からツアー優勝を重ねた石川遼の雄姿に憧れ、転身を決めた。
最初のスコアは111。だが、約5ラウンド目で80台を出した。「ボールの当て感や一球入魂する力は似てる。野球は1人だけ頑張っても勝てないけど、ゴルフは個人で努力するほど結果に結びつく」。白球を追った日々は、14歳で始まったゴルフ人生でショットメーカーの道へつながっている。
17年のプロ転向から勝てず。2年前に結婚した妻・あやかさんに「優勝は先かもしれないけど、養えるように頑張る」と闘志は絶やさなかった。テンガロンハットが代名詞だったツアー31勝の師匠・片山晋呉(52)をほうふつとさせるバケットハット姿で、9月に初優勝。名前も出身地も同じ石川の背中を追う1勝に「次のリョウくんは僕だぞ」と言い放った。JTカップは初出場。27日の30歳の誕生日を前に20代最後の試合に臨む。「メジャーで優勝して、あの赤いジャケットを着たい」。飛躍のシーズンを勝利で締める。(星野 浩司)=おわり=
◆勝俣 陵(かつまた・りょう)1995年12月27日、埼玉・三芳町生まれ。29歳。父の勧めで14歳でゴルフを始める。埼玉栄高3年時の13年関東高校選手権団体・個人2冠。日大3年時の16年埼玉オープン優勝。17年プロ転向。昨年賞金ランク45位。174センチ、73キロ。

