【JTカップ】蝉川泰果「奇跡を」逆転賞金王へ6差10位発進 「明日へ望み」3連続バーディー締め


5番、第2打を放つ蝉川(カメラ・古川  剛伊)

5番、第2打を放つ蝉川(カメラ・古川 剛伊)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 25年シーズン最終戦 メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第1日(4日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)

 逆転賞金王へ優勝が絶対条件となる2023年大会覇者の蝉川泰果(24)=アース製薬=は5バーディー、4ボギーの1アンダー69で回り、トップと6打差の10位でスタートした。02年、07年と2度キングに輝いたツアー20勝の谷口徹(57)からの助言を胸に、賞金ランク1位の金子駆大(こうた、23)=NTPホールディングス=、同4位の大岩龍一(27)=フリー=との三つどもえの戦いを制する。3日に結婚を公表した昨季賞金王の金谷拓実(27)=SOMPOひまわり生命=は、68で5位と好発進した。

 窮地から蝉川がよみがえった。3連続バーディー締めで食らいついた。難関18番パー3。ピン奥に着弾した第1打を傾斜を使って、左手前3メートルまで戻し、バーディーパットを決めきった。「18番はいいラインについて決められたけど、全体的にはもう少し伸ばせた展開」。不完全燃焼に苦笑いを浮かべたが、一時は2オーバーまで低迷しながらのアンダーパーへのカムバックだった。

 7アイアンやウェッジでのミスが続き、グリーン上では5回ほどカップに蹴られた。10番で1メートル、11番で70センチを外して連続ボギー。気持ちが切れそうな場面が続きながら持ちこたえられたのは、第一線を退くことを前週表明し、この日関係者へのあいさつ回りなどで来場した谷口のおかげだった。大先輩にスタート前にたずねた。「どういう気持ちで回っているんですか?」。返ってきた答えは「一喜一憂するな」。2度賞金王に輝いたベテランからの助言は「気持ちを入れすぎず、いかに自分が狙った所に打つかということに集中した方がいい」。ロープの外を歩き、プレーを見守ってくれたこともうれしかった。

 賞金王を争う金子、大岩との最終組での直接対決で、最上位スタートを決めた。折り返し直後10、11番で蝉川と大岩が連続ボギー。金子はダボ、ボギーとそろって苦戦を強いられた展開にも「賞金王争いの緊張感はあまりなかった。2年前の初日に中島選手、金谷選手とプレーした経験もある。年々経験値も増えてきた」。4年連続4度目の舞台。戦い方を心得ている。

 尾崎将司の25歳300日を更新する24歳330日での最年少大会2勝へ、トップとは6打差だ。「きつい」と息をはいたが、諦めるつもりはさらさらない。「奇跡を起こしたい。修正すればいける。最後の3連続バーディーが明日への望みになったし、プラスのマインドで入れる。それを生かしたい」。浮上あるのみ。アグレッシブに、東京よみうりCCを攻め抜く。(高木 恵)

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