
4番、ティーショットを放ち、ボールの行方を見つめる小木曽。通算7アンダーで単独首位に立った(左は2位の宋永漢=カメラ・今西 淳)
◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 25年シーズン最終戦 メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第2日(5日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)
2位から出たツアー1勝の小木曽喬(28)=フロンティアの介護=が1イーグル、4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの68をマークし、通算7アンダーで単独首位に浮上した。プロ転向11年目で、初勝利は昨年6月の韓国でのハナ銀行招待。最終戦のメジャーで自身初の国内勝利を狙う。韓国では不在だった父・一(はじめ)さん(60)も国内初Vを見届けるために6日に来場。父子家庭で育ててくれた父に恩返しの孝行息子Vを誓った。
小木曽が寒さも吹き飛ぶ超ホットなスーパーイーグルで魅せた。気温9・6度、冷たい風が吹く17番パー5。残り197ヤードから6アイアンで放った第2打が6メートルに着弾。下りのフックラインをねじ込み、「しっかりカップに届いてくれてラッキーもあった」とうなった。今季優勝者や賞金ランク上位の30人が争うメジャー最終戦で単独トップに浮上。「すごくいいゴルフだった。この大会でこの位置でプレーできてうれしい」と浸った。
ジェットコースターのような一日だった。6、7番で連続バーディーを奪ったが、ボギー2発と13番は3パットでダブルボギーと後退。だが、上位陣のスコアが伸びておらず「みんな苦しんでるのは分かっていた。そこは冷静になれた」と動じず。14番で2メートルに乗せ、16番は10メートルを沈め、とどめのイーグル。終盤4ホールで5つ伸ばし、V戦線によみがえった。フェアウェーキープ率100%、パーオン率77・778はともに1位とショットはキレキレだった。
幼少期はテレビのゴルフ中継に熱中し、ツアー16勝の伊沢利光(57)に憧れた。「僕の中ではスター。スイングが一番奇麗でジュニア時代からマネした」。プロ転向後に同組で回った際も「ショットがキレすぎて別物だな」と見とれた。メジャー4勝ながら、JTカップはつかめなかった伊沢も顔負けのショット精度が光っている。
父子家庭で育ち、父・一さんと二人三脚で歩んできた。名古屋市の実家に帰れば、練習時のスイング動画撮影など温かいサポートを受ける。昨年6月。韓国での初優勝は父の日のプレゼントになり、父に日本から電話で祝福された。父は6日から現地観戦。「日本で勝ちたい気持ちはもちろんある。今度こそ父に優勝を届けたい」と思いは強い。
今季はトップ5が4回。11月のACN選手権は2位。「自分が伸ばしきれずに勝てなかったけど、自分のレベルが上がっていると感じる。優勝したい気持ちは強い」。海外志向は移動や環境面の苦労から全くないが、今大会Vで「3年シードが欲しい。手に入れば自分(の考え)も変わるかも」。まだ見ぬ自身の野望を知るため、メジャー初Vをつかむ。(星野 浩司)
◆小木曽 喬(おぎそ・たかし)
▼生まれとサイズ 1997年3月19日。愛知・名古屋市出身。28歳。178センチ、72キロ
▼ゴルフ歴 テレビ中継を見て6歳でゴルフを始める。父・一さんに7アイアンを買ってもらい、練習に励んだ。中学時代に福井県に移り、福井工大福井高3年の2014年に当時日本人最年少の17歳115日で日本アマ優勝。福井工大に進み、15年12月にプロ転向。23年に初シード獲得。24年ハナ銀行招待で初優勝し、賞金ランク10位
▼スポーツ歴 野球、サッカー
▼憧れの選手 伊沢利光
▼得意クラブ サンドウェッジ
▼趣味 野球観戦。プロ野球・中日ファン「チーム全部推しです」
▼リフレッシュ方法 サウナ

