
鮮やかな紅葉をバックに12番ティーショットを放つ吉田。通算4アンダーで4位につけた(カメラ・今西 淳)
◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 25年シーズン最終戦 メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第2日(5日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)
5位から出た吉田泰基(27)=東広野GC=が1イーグル、6バーディー、2ボギー、2ダブルボギーの出入りの激しいゴルフで68をマークし、通算4アンダーの3打差4位に順位を上げた。初優勝をメジャーで飾り、21日の挙式に花を添える。23位と出遅れた賞金ランク1位の金子駆大(こうた、23)=NTPホールディングス=がこの日最少の67で回り6打差11位に浮上。同3位の蝉川泰果(24)=アース製薬=は2アンダー6位で週末を迎える。
最終18番で、難コースもねじふせる“新婚パワー”が出た。吉田は2メートルのバーディーパットを決めると、右手でガッツポーズ。ギャラリーを沸かせた。3月10日に女子ゴルファーの樹里さん(25、旧姓・宮崎)と婚姻届を提出。大歓声に沸く観衆の中で、ひときわ輝く新妻に雄姿を見せつけた。
グリーンの傾斜が強く、東京よみうりCCの名物と言われる、18番パー3。今大会はバーディーが第1日、この日と2個ずつしか出ていない難関を攻略し、トップを射程圏に入れた。「3パットのボギーだけはしたくなかった。ラインもそんなに変な跳ね方をせずに素直に転がってくれた」ともくろみ通りのショットに満足げだった。
名物キャディーに「ナイスジャッジ」を授かった。バッグを担いだ大溝雅教キャディー(59)は、00年の片山晋呉、18年の小平智らと3勝を挙げたV請負人。コースを知り尽くす職人から、18番のティーショットのクラブの選択で助言を得た。吉田はユーティリティーを選ぼうとしたが、助言は「7ウッドでいけ」。
グリーンは奥から手前に急傾斜し、また風でボールが流されることを考えると、「7ウッド」は飛距離がさらに出るクラブだった。吉田も「オーバーしそうだなと思った」というが、キャディーの意見は「寒いし、フォローの風がない」。その通り、クラブを振るとボールはオーバーせず、ピンまで約2メートルにぴたり。体の動きが鈍くなる寒さ、微妙な風まで計算していたキャディーに、吉田も「信じて打った結果があれ。さすがだな」と舌を巻いた。
ツアー優勝はまだない。3年連続の出場で16位、14位。「初勝利がこの大会なら本当にすごいこと。勝ちたい大会」と、史上5人目の日本シリーズJTカップでのツアー初優勝を狙う。勝ちたい理由はまだある。21日には妻との挙式も控える。式の段取りすべてを任せた花嫁に「花を添えたい」。初のメジャータイトルを花嫁のブーケにし、ウェディングマーチを鳴らす。(松末 守司)
◆ツアー初優勝が日本シリーズJTカップ 1973年のツアー制施行後では94年の佐々木久行、2003年の平塚哲二、13年の宮里優作、16年の朴相賢(韓国)の4人。
◆吉田 泰基(よしだ・たいき)
▽生まれ 1998年3月30日、神戸市。27歳
▽アマ時代 小3で坂田塾に入塾。香川西高3年時に「香川県アマ」で優勝。日大1年時には「関東大学春季対抗戦」の個人戦を制し、4年で「関西アマ」を勝利
▽プロ 19年にプロに転向。22年にリランキングでQT順位を上げて初シードを獲得。今季は賞金ランク13位
▽ツアーベスト 23年「三井住友VISA太平洋マスターズ」、25年フォーティネット プレーヤーズ カップ」の単独2位
▽日大同期 岩崎亜久竜、大岩龍一(中退)
▽支え 3月に結婚した妻樹里さんは、ほとんどの試合に同行し、車の運転、食事面などでサポートを受ける
▽趣味 カラオケ。冬はスキー。スノーボードはけがが怖いためやらない
▽サイズ 173センチ、75キロ

