尾崎将司さんの「S状結腸がん」は大腸がん全体の3~4割 欧米人に比べて多く初期症状は血便や下痢、便秘


尾崎将司さん

尾崎将司さん

 男子ゴルフで国内最多のプロ通算113勝(うちツアー94勝)を挙げた尾崎将司さんが23日、S状結腸がん(ステージ4)のため、死去した。78歳だった。

 近大医学部外科学教室(下部消化管部門)の川村純一郎主任教授によると、S状結腸がんは、大腸がんのうち肛門近くにある直腸の上部「S状結腸」に発生するがん。大腸がん全体の3~4割を占め、欧米人に比べてS状結腸が長い日本人には多くみられるという。

 初期症状として一番多いのが血便で、その次が下痢や便秘などの便通異常。罹患(りかん)の原因としては欧米型の肉を中心とした食生活や高脂肪食、肥満、運動不足、飲酒に加えて高齢化が挙げられる。

 S状結腸がんを含む大腸がんは、ステージ1~3までは手術で完治する可能性が高いが、ステージ4まで進行すると手術で切除できるケースは2~3割にとどまる。抗がん剤を含む薬物治療しか手段がなくなれば、5年生存率は約20%と厳しい状況が待つ。

 大腸がんは女性より男性に若干多い傾向だが、川村教授によると「女性のがんによる死亡者の数では一番多い。罹患率1位の乳がんを上回る。決して無視できない」。これまでは60~70代の罹患が中心だったが、近年米国では40代までの若年性大腸がんが急増。日本でも今後同様に増えていくことが予想されるという。

 川村教授は「大腸がんに関しては検診の有用性が証明されている。症状が出てから見つかった人より、検診で見つかった人の方がステージは早期であることが分かっている」と説明。大腸がん検診として行われる「便潜血検査」を、40歳以上の人に定期的に受診することを勧めている。

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