3打差2位で出た桑木志帆(23)=大和ハウス工業=が3バーディー、2ボギーの70で回り、通算5アンダーで並んだエスター・ヘンゼライト(ドイツ)とのプレーオフを制し、日本女子7人目のメジャー制覇を果たした。全英女子が2001年にメジャーに昇格してからは19年の渋野日向子、昨年の山下美夢有(みゆう)に続いて3人目の制覇。米ツアーでの初勝利となり、優勝賞金150万ドル(約2億3700万円)を獲得した。
右手はピンク、左手はブルー。ド派手なネイルが施された指で包んだトロフィーを、桑木が高く掲げた。「信じられない。実感はないが、うれしい。うれしいしかない」。ウィニングパットを沈めると、英国の空に向かって気持ちよさそうに両手を広げた。鮮やかな緑のウェアと白のパンツ姿で迎えた歓喜の瞬間。「目立ってなんぼ」の精神を結果で示した。
プレーオフ(PO)の1ホール目で第1打を右に曲げた。「やってしまった」と悔やんだが、すぐに気持ちを切り替えた。フェアウェーに出し、130ヤード残った第3打を1メートルへ。起死回生の一打で2ホール目へ勝負を持ち込み、決着をつけた。もともとは感覚派。ショットに自信がある故に「ジュニア時代の流れでピンだけを狙ってしまっていた」ことを省み、今季はマネジメントを徹底してきた。4日間でポットバンカーにティーショットを入れたのは2回だけだった。
渋野日向子(27)と同じ岡山市出身。同郷の先輩の背中を追ってきた。小学生時代から親交があり「お姉ちゃんみたいな存在で、かわいがってもらった」。渋野が優勝した2019年は、16歳の高校生だった。「自分も日向子ちゃんを見て育った。ジュニアの子たちがこの優勝を見て、私みたいになりたいと思ってゴルフを頑張ってくれたらうれしい」とほほ笑んだ。
孝行娘だ。父の正利さん、母の浩子さんの前で快挙を成し遂げ「いろいろな景色を見せてあげたいなと思っていた」と感謝した。4歳の時にゴルフに導いてくれた正利さんは2023年に脳梗塞(こうそく)を患った。69歳の今は全試合を現地で見られないが、絆の強さは変わらない。「親の言うことは聞かない。特に、私の言うことは」と苦笑いしつつ「気遣ってくれていることは確か」と目を細めた。
11月に予選会に挑戦する予定だった米ツアーに本格参戦する権利を手にした。今季は日本ツアーを優先する方針で、来季から拠点を移す。大好きなものは「キラキラ」。人工まつげをつける「まつげエクステンション」にもこだわりがあり「マジで大事」と力説する23歳の自分へのご褒美はお酒だ。「好きなので、いっぱい飲みたい。ウイスキーのソーダ割りを」。今時の愛されキャラの個性派プロが、メジャーチャンピオンに上り詰めた。
◆桑木 志帆(くわき・しほ)
▼生まれとサイズ 2003年1月29日、岡山市。23歳。163センチ
▼ゴルフ歴 4歳で始める。岡山理大付高を経て、倉敷芸術科学大在学中。21年6月のプロテストで一発合格。同年末の新人戦で優勝
▼ツアー歴 本格参戦1年目の22年はメルセデス・ランキング51位でシードを逃す。23年同10位で初シード。24年6月の資生堂レディスで日本ツアー初優勝。国内通算5勝
▼同学年で国内メジャー優勝一番乗り 24年11月のJLPGAツアー選手権リコー杯制覇。岩井明愛、千怜、佐久間朱莉らを抑えて02年度生まれ最速
▼好きなもの 「キラキラした派手なもの」。色はピンク、黄色。人気日本人ラッパーの「LANA」。最近は「クイーン」にはまっているとか
▼趣味 カラオケ。得意曲はHYの「366日」
▼憧れ 同じ岡山出身の渋野日向子、吉田優利
▼性格 「負けず嫌い」と父・正利さん

