
男子ゴルフツアー「フォーティネット プレーヤーズ カップ」が行われる成田ヒルズCCの18番ホール(JGTO提供)
男子プロゴルフツアーの「フォーティネット プレーヤーズ カップ」が10月22~25日、千葉・成田ヒルズCCで行われる。「プレーヤーとファンがかつてなく強くつながる大会」をテーマに立ち上がったトーナメントは今年2回目を迎える。スポーツ報知では4回にわたって、大会を特集。第3回は今大会のコースセッティングアドバイザーで、ツアー2勝の渡辺司(69)=TSUBURAYA FIELDS=のインタビュー。注目ホールやセッティング、攻略法や大会の見どころについて語った。
世界屈指の設計家、ピート・ダイ氏による傑作の1つと評される成田ヒルズCC。第1回の昨年に続き、渡辺が2年連続で今大会のコースセッティングを担当する。
「ハイリスク、ハイリターンのコースです。いいショットにはバーディーやイーグル、ミスショットにはボギーやダブルボギーとメリハリの強いゴルフ場だと思います。ピート・ダイのゴルフ場で、コースの難易度を選手にきちんと感じてもらいながらプレーしてもらいたい。去年はかなり難しいであろうセッティングをしたけど、優勝者は20アンダーだった。日本の男子のレベルが高いと言えます。グリーンはうねりが大きく、段があり、傾斜がきつい。池が絡むパー3が2ホールあり、去年は前方のティーを使ったけど、今年は可能な限り、後方のティーを使うつもりです。池があるにも関わらず、200ヤードを超える可能性もある。いいショットにはいい結果、悪いショットには悪い結果というコンセプトを考えれば必要だと思います」
池が絡むパー3の1つが4番(昨年207ヤード)だ。
「4番はまっすぐ、高さに変化はないシンプルな池越えホール。選手が嫌がるのはミスショット。グリーンが縦にあまり大きくないので、明らかにオーバーするショットはボギーになりやすい。ショットに自信がない人はグリーン手前の池を恐れて逃げに入り、大きめのクラブを選びたがる。その結果、奥からのアプローチ、長いパットになるので要注意です」
もう1つは、17番パー3(同220ヤード)。グリーン左から手前にかけて大きな池が広がり、打ち下ろしで風の影響を受けやすい。終盤の難関ホールとして選手に立ちはだかる。
「トップの選手が後続と1~2打差で競った場合、リスクを恐れて積極的にピン方向に打っていきづらい。後ろのティーだと距離は200ヤードを超え、10ヤード以上の打ち下ろしがあり、風も吹いていたら見る人はワクワクするけど、プレーする選手は嫌なドキドキ感です。打ち下ろしは目線を下げるので、低い球を打ちたい気持ちは絶対に起きる。低い球を打とうとすると、往々にしてクラブはかぶり、球が左に行く失敗が多い。それが分かっているから、コース設計家は左に池を作る。僕らのように長く試合をやってきた人間の失敗例や成功例を振り返ると、優勝にたどり着くには攻めなきゃいけない。セッティングをする側としては、選手たちに『優勝を成し遂げるための勇気をここで振り絞ってくださいね』という気持ちです」
注目ホールには17番に加え、池越えの最終18番パー4を挙げた。
「選手にとっては、限りなく地獄のようなホールです。17番で後続と3~4打差あってもまだ優勝が分からないくらい難しい。特にグリーンは右から左への傾斜が非常に強い。左が池なので、10人中9人はグリーンの右側に乗るけど、右からパットするとカップ近くではなかなか止まらない。僕が頭の中に描いたのは、(海外メジャー)マスターズの16番パー3。松山英樹選手が2021年に優勝した時はグリーン右に乗り、パットがきつい傾斜で下ってカップを通りすぎて奥のエッジに3ヤードほどオーバーしてボギーとなった。本当に最後の試練として『優勝する人は、右に乗ったらまず寄らないパットを頑張って入れてください』という思いです。去年の最終日は左側にピンを切ったけど、今年もその可能性はあります。最後にチャンピオンになりたかったら、その試練を乗り越えてほしいです」
昨年はグリーンのコンパクション(硬さ)は柔らかく、総距離7132ヤード(パー71)で開催された。
「去年はすごく柔らかくて止まるグリーンでした。今年は去年より少し硬く仕上がってくれればいいなと思います。グリーンは傾斜と段が非常に多いので、必要以上に速すぎるのもおもしろくしない。スピードは去年と同じ11・5~12フィートで考えています。総距離の表示は後ろのティーで公表しているので変わらないけど、ティーイングエリアを前に出したホールがあった去年より、実際の距離は70~80ヤードくらい伸びると思います」
今季の男子ツアーは、国内メジャーの日本プロ選手権センコーグループカップでツアー初優勝を飾った細野勇策(三共グループ)がポイントランキング1位を走る。今季1勝の選手が上位8位を占め、年間王者争いは終盤戦まで白熱しそうだ。
「僕がレギュラーツアーで戦っていた時代は、青木功さん、ジャンボ尾崎(将司)さん、中嶋常幸さんと、分かりやすいスターがずっと強かったです。当時は大学を出てプロとして活躍するのがまだ少数だった。今はほとんどの選手がジュニアからゴルフをして大学まで行って、十分に競技生活への準備が整った状態でプロに転向する選手が多い。そういう人が同じスタートラインに立つので、スターが生まれにくいと感じます。松山選手を筆頭に、自信がある人は海外に出てプレーする。ジャンボさんは噂では「俺は海外が嫌いだ」とおっしゃっていたそうで、国内94勝を挙げた彼のようなスーパースターは今のゴルフ界に存在しないです」
それでも、日本の男子プロの技術やパワー、レベルの高さを年々痛感している。
「今の日本の男子のレベルはめちゃくちゃ高いのは間違いない。全盛期のジャンボさん、青木さん、中嶋さんたちよりもうまいと思います。難しいコースでも20数アンダーは普通に出すし、7~8アイアンで180~200ヤードを飛ばすなど飛距離もすごい。レベルが高い多くの選手が難易度の高いピンを自信を持って攻めていくからこそ、全体的にスコアが良くなる。本当に高いレベルの試合を目指し、難易度のある難しいセッティングの中、選手は頑張ります。失敗して痛い目にもあうことも覚悟した上で攻める選手たちを間近で感じ取ってもらい、選手たちの強い思いを見てほしい」
優勝スコアは昨年同様に「12~15アンダー」と想定している。
「去年は想定を大きく上回り、佐藤大平選手が20アンダーで優勝しました。今年も12~15アンダーになってくれればいいなと思ってセッティングします。昔、青木功さんとイギリスに行った時、(全英オープンを主催する)R&Aの人たちが『チャンピオンになるためには、体力、戦略、技術があって、最後に神様に選ばれる必要がある』と話していた。神様に選ばれるという要素は、成田ヒルズCCは他のゴルフ場よりも多いと感じます。特に池が絡む17番、18番は風がやんだり、強く吹いたり、向きを変えるから、神様が選ぶという意味で『運』は表れやすい。トーナメントにふさわしいコースで選手たちのプレーに注目してください」
レベルの高い男子プロが難コースに挑み、頂点を目指す熱い戦いに注目が集まる。(星野 浩司)

