◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー 長嶋茂雄招待セガサミーカップ第3日(2日、北海道・ザ・ノースカントリーGC、7167ヤード=パー72)
日替わりで違うパターを操る7位スタートの矢野東(38)=フリー=が5バーディー、1ダブルボギーの69で回り、通算8アンダーで6打差5位に浮上。長嶋茂雄大会名誉会長(80)がスターターを務める最終日に大会最多となる6打差逆転の“メークドラマ”を演じ、ツアー通算4勝目をつかむ。この日のベストスコアタイの67を出した谷原秀人(37)=国際スポーツ振興協会=が、14アンダーで単独首位に立ち、通算12勝目に王手をかけた。
夏の北海道で20年ぶりに“メークドラマ”を再現する。過去4度トップ10入りした相性の良いコースで、矢野がバーディーチャンスを量産。「ゴルフの感じは相当いい。5バーディー取れたけど、欲張りなので全部(パットを)入れたい」とツアー屈指のイケメンは白い歯を見せた。
ショットは絶好調だ。「フェアウェーは広いし、グリーンも大きい」と自慢の飛距離を武器に攻める。この日のパーオン率は全体1位の88・89%。さらに今大会3日間も79・63%でトップだ。見せ場は17番パー4。残り144ヤードからの第2打を9アイアンで10センチへ寄せてバーディー。ギャラリーの喝采を浴びた。
対照的にグリーン上は苦戦中だ。「目があるので読めない。ミスヒットも多くて」と初日から28→31→30パットで「ショットよりもパターの方が芯に当たらない」と苦笑い。異例の“日替わりパター作戦”で乗り切る。毎朝4、5本を持ち込み「構えた時、一番据わりのいい物」を選ぶ。センターシャフトのマレット型は同じだが、この日は35インチのスコッティ・キャメロン。初日はオデッセイのモデルで長さ34インチ、2日目は同じモデルの35インチだった。
子供の頃から巨人ファンだった矢野は中学時代、野球部に所属。「長嶋さんと同じ三塁手でした」。最終日は最終組の1つ前の組でプレーする。長嶋氏は矢野の組を含め3組を、1番ティーでスターターとして声を掛けて見送る予定だ。
首位とは6打差。今大会の最終日最大逆転劇は08年のジーブ・ミルカ・シン(インド)の4打差だ。長嶋巨人は96年に11・5差からの逆転Vを実現した。「攻める気持ちで全部ピンに打っていく」と矢野。ミスターばりの勝負強さで「メークドラマ」を再現する。(榎本 友一)
◆矢野 東(やの・あずま)1977年7月6日、群馬・富岡市生まれ。38歳。10歳でゴルフを始め、富岡高から日大へ進学。98年に関東アマ、朝日杯全日本学生で優勝。2000年にプロ転向。02年からツアー参戦し、同年賞金ランク60位で初シード獲得。05年のアサヒ緑健よみうりメモリアルで初優勝。08年は2勝し、賞金ランク2位。15年は賞金ランク64位で2年ぶりの賞金シード入り。176センチ、75キロ。血液型O。家族は妻。