◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアーメジャー第2戦 日本プロ選手権 日清カップヌードル杯最終日(10日、北海道クラシックGC、7094ヤード、パー72)
3打差2位から出た谷原秀人(37)=国際スポーツ振興協会=が63をマーク。コースレコードタイの猛チャージで通算22アンダーとし、武藤俊憲(38)=フリー=とのプレーオフ(PO)に突入。PO1ホール目で破り、大逆転でメジャー初優勝した。
約2万円で購入したDVDを見てスイング改造後、2週連続Vで、ツアー13勝目。わずかな投資で合計6000万円を手に入れ、賞金ランク1位(海外メジャーも含む)に浮上した。
絶望的な状況でも、谷原は勝負を捨てなかった。PO1ホール目。第1打を右に曲げて林に入れた。目前には3本の木。グリーンの手前には巨大な池が待ち構え、ピンまで残り242ヤードもあった。だが3Wで木の間を通しグリーン近くに運ぶとパーセーブ。「本当に取りたいタイトルが取れた」。メジャー初Vを決めると、力強く右手を握った。
漫画のような逆転劇だ。首位の武藤が1番から5連続バーディーの離れ業。最大で5打差をつけられた。追う谷原。14番パー4で第1打を池に入れた。その直後、雷雨接近で2度目の中断。だが、集中力は切れなかった。「(6月の)全米オープンでは1日に3度も中断したから」。再開直後、残り110ヤードの第3打を30センチに寄せパーを拾った。
残り3ホールでまだ4打差。それでも「最後まで(武藤を)苦しめてやる。楽には勝たせない。絶対に諦めない」。16番で約2メートルを沈めて2打差に迫ると、続く17番では約7メートルをねじ込み1打差。最終18番でもきっちりパーセーブし、武藤に追いついた。
2007年以来、自身2度目の2週連続V。好調の理由は2万円の“投資”にある。6月下旬、ドラコンプロの安楽拓也氏(46)のDVDを購入しスイングを微調整。その事実が報道されたことがきっかけで、今大会前には直接指導も受けた。詳細は明かさなかったが「全てのショットが良くなった」とほくそ笑んだ。
リオ五輪はジカ熱や治安などの問題から辞退し、メジャー優勝や賞金王争いが目標。日本ツアーでの賞金ランクは昨年の賞金王・金庚泰(韓国)に次ぐ2位だが、賞金王争いに加算される海外メジャーでの賞金を加算すると1位。「賞金王として、頑張っている姿を届けたい。上位に入って、皆さんを時差ぼけで寝不足に出来るように」。11日に渡英し、14日開幕の全英オープンに挑む。(高橋 宏磁)