「行けとゴーサインくれた」片山晋呉がリオ出場を決意した亡き父の遺品


片山の父・太平さんが東京五輪で聖火ランナーを務めたことを証明する「委嘱状」(片山晋呉の公式サイト、club45から)

片山の父・太平さんが東京五輪で聖火ランナーを務めたことを証明する「委嘱状」(片山晋呉の公式サイト、club45から)

 リオデジャネイロ五輪に挑むゴルフ男子日本代表の片山晋呉(43)=イーグルポイントGC=が12日、亡き父にメダル獲得を誓った。1997年に亡くなった父・太平さん(享年53)の遺品を見つけ、ジカ熱や治安の不安があるなか「父が行けとゴーサインをくれた」と告白。ゴルフは1904年のセントルイス大会以来112年ぶりに復帰するが、日本勢は今回が初参戦。初のメダリストを目指し乗り込む。

 世界ランクで日本勢1番手の松山英樹と、2番手の谷原秀人がジカ熱や治安への不安などから出場を辞退。片山は4番手からの繰り上がりで出場権を得たものの、自身の不調などもありかなり悩み迷った。そんな中、出場の決め手となったのは、父・太平さんの遺品を発見したからだ。

 6月に自宅の掃除をした際、引き出しから貴重なものを見つけた。1964年東京五輪の国内聖火ランナーを務めた、10万713人の一人が太平さん。その足跡を示す証しのものだった。「委嘱状があった。父が行けとゴーサインをくれた。日本男児として名前を残そうと思った。東京(五輪)にプラスになるように経験を伝えられれば」と明かした。

 太平さんはゴルフ練習場を経営しており、片山は「(夜遅くまで練習場にいる)お父さんに会いたい」とゴルフを始めた。そんな思い出も脳裏をよぎり、不安よりも、日の丸を背負える喜びが勝った。

 本番前の“前哨戦”として、29日に開幕する非ツアー大会の「ネスレ招待 日本プロゴルフマッチプレー選手権レクサス杯」(北海道・恵庭CC)に出場する。同大会の優勝賞金は日本で最高額の1億円。「勝って五輪の軍資金にしたい」。V賞金の一部を、トレーナーやマネジャーなど“チーム片山”の遠征費や宿泊費に充てる考えだ。昨年大会は決勝で武藤俊憲に敗れ惜しくも準V。雪辱を果たし、堂々と五輪に乗り込む。(高橋 宏磁)

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