◆女子プロゴルフツアー CATレディース最終日(21日、神奈川・大箱根CC=6704ヤード、パー73)
昨年の賞金女王、イ・ボミ(延田グループ)がプレーオフ(PO)を制し、自身初のバースデーVを飾った。2打差2位から72で通算9アンダーに伸ばし、韓国の全美貞(33)=眞露=、大江香織(26)=アルパイン=とのPO1ホール目でバーディー。2週前のmeijiカップに続く出場2戦連続優勝で今季4勝目を挙げ、28歳の誕生日に自ら花を添えた。
日本では通算19回目の優勝インタビュー。ボミは生まれて初めての二重の喜びをかみ締めた。ツアー史上8人目となる誕生日優勝。大会関係者から花束を、ボランティアからは「ハッピーバースデー」の歌を贈られ「最高の一日でした」と自慢の笑顔を振りまいた。
土壇場で、女王の意地を見せた。18番を舞台に行われたPO1ホール目。残り約140ヤードの第3打を8アイアンで約80センチに寄せてバーディー。「3打目はいい距離だった。自信があった」。7番終了時、2位に3打差をつける独走状態から3つボギーを重ねズルズル後退。首位に並ばれながら、最後は振り切った。
一昨年9月に父・ソクジュさん(享年56)を亡くした。最終日の前夜の20日、約10か月ぶりに父の夢を見て泣いた。「久しぶりに父の夢を見てうれしかった。父がいないのはさみしいけど、母や家族が私のために頑張ってくれている」。ほぼ毎試合、ツアーに帯同し支えてくれる母・ファジャさん(54)を喜ばせるためにも勝利が欲しかった。
獲得賞金は1億2172万円となり、2位のキム・ハヌル(韓国)とは約4206万円差。2年連続の女王へ盤石の態勢を築きつつあるが「賞金女王は今は考えてない」と淡々。目指すは、さらなる高みだ。リオ五輪女子ゴルフは同じ1988年生まれで、ジュニア時代から親交のある朴仁妃が優勝。「仁妃は友達だし応援してました。私も金メダルが欲しい」。その視線は、しっかりと4年後を見つめている。(高橋 宏磁)
◆緊張解き支えた清水キャディー
ボミの勝利を清水重憲キャディー(42)が支えた。PO1ホール目。約80センチのバーディーパットのラインを読んだ女王が思わず「すごく緊張する」と漏らすと、すかさず「入らなかったら、もう1回(POを)やったらいいだけだから。楽しめばいいよ」とアドバイス。ボミは「清水さん、さすがと思った。気持ちが楽になりました」と感謝していた。