◆男子プロゴルフツアーRIZAP・KBCオーガスタ第3日(27日、福岡・芥屋GC、7151ヤード=パー72)
7月以来の復帰戦の石川遼(24)=カシオ=が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算12アンダーで2位に2打差をつけて単独首位をキープ。昨年12月の日本シリーズJTカップ以来となるツアー通算14勝目に王手をかけた。この日、11月にオーストラリアで行われる国地域別対抗戦ワールドカップ(W杯)に出場することも発表。松山英樹(24)=LEXUS=との初コンビで世界に挑む。ブラッド・ケネディ(42)=豪州=と小田龍一(39)=Misumi=が2打差の2位。
不規則な強風の中、平均ストローク73・41と難しい一日。石川もパーオン率44・44%(全体50位)とショットで苦戦したが、初日からの首位をキープした。前日予選落ちした弟・航(16)、キャディーを務めた妹・葉子さん(20)が応援する前で「良いゴルフはできていなかったのでアプローチ、パットで我慢できたのが効いた」と2位との差を2打に広げて見せた。
米ツアーで磨きをかけてきた小技が光った。この日のパット数は全体最少の24。「左手の感覚を重視した」クロスハンドグリップで、ツアー唯一の目の強い高麗グリーンに苦しむ選手を横目に堅実に沈め続ける。
14番は絶妙なアプローチでわかせた。残り40ヤードからウェッジでの第2打はグリーンで転がってピンへ一直線。惜しくもカップ縁で止まり、イーグルを逃し「入ったと思った」としゃがみ込んで苦笑いで悔しがった。とはいえ、首位に並ぶ価値あるバーディーで「明日は天候が荒れるみたいで正直、1位であがりたいと思っていた」とうなずいた。
同い年のライバルと、W杯で日本代表タッグを初結成することを米ツアーが発表した。今月中旬、世界ランク最上位の松山から「遼と出たい」と打診された。同週には所属先の主催するカシオワールドオープンが予定されるが「英樹と組んで出たい気持ちが強くて、カシオの会長さんと話をしてご理解して頂きました」。相談から数日後に「出場」の最終回答を伝えた。
同じ24歳で、09年と13年日本ツアー賞金王の“石松ペア”。20年東京五輪の試合方式は未定だが、2人で世界トップレベルのダブルス戦を戦うことは貴重な経験となる。「出るからには絶対勝たなきゃいけない。優勝したい。遼、あと3か月で頑張って仕上げてくれ」との松山の熱い言葉に心を打たれた。「英樹に心配はかけたくない。W杯までに1試合でも多く良い結果を残したい」と石川。まずは09年8月以来2度目の完全Vで、盟友の思いに応える。(榎本 友一)
◆ゴルフW杯とは 1953年から行われる国・地域別対抗戦で、今年は28の国・地域から各2人ずつ計56選手が参加する。今年から各国の世界ランク最高位の選手がパートナーを指名する規定に変更。日本代表の優勝は2回あり、1957年の中村寅吉、小野光一組(中村は当時の個人戦でも優勝)、2002年の伊澤利光、丸山茂樹組。前回13年大会は個人戦はジェーソン・デー(オーストラリア)が優勝。アダム・スコットと組んだ国・地域別対抗戦もオーストラリアが制した。前回の賞金総額は700万ドル(当時で約7億円)。今大会は11月24~27日にオーストラリアのキングストンヒースGCで行われる。