日本プロゴルフ協会(PGA)初のジュニア競技「PGAジュニアゴルフ選手権 太平洋クラブカップ」(報知新聞社後援)が8月22~23日、栃木・太平洋クラブ益子PGAコースで開催された。太平洋クラブが特別協賛、日本高等学校ゴルフ連盟(高ゴ連)が後援についた同大会は、日本ゴルフ界の未来を見据えた新たな試みとなった。
全国8地区の中高生128人が参加した大会は、男女の個人戦と団体戦が行われた。特に団体戦は、学校の垣根を越えた男女各8人計16人でチームを結成し、それぞれ上位6人の合計スコアで競うというこれまでにない形式。選手たちは地元のライバルと一緒にコース攻略の戦略を練り、ときに励まし合った。各地区にはその地域のPGAプロが付き、寝食を共にして勝利へ一丸となった。
PGA・倉本昌弘会長は「選手同士が交流し、ともに戦う。地域を背負ったチーム戦は、ジュニアにとって大きな意味で情操教育の場になるはず」と、PGAが初めて実施したジュニア競技の趣旨を説明。また、東京五輪に向け「若い選手たちは新たな目標ができた。東京、そしてその先の五輪で活躍する選手がこの大会から育ってほしい」と期待を寄せた。
社会貢献活動の一環として「ジュニアゴルファーの育成」を掲げる太平洋クラブの韓俊社長は、倉本会長から同大会の意義を「長期的なゴルフ業界の発展のため」と聞き、特別協賛を決定。「マナーや人格においても国際的舞台に通用する選手を育てる場になれば」と、最高のコンディションのコースを提供し、その成長を後押しする。
今回の“コラボ”に大きな手応えを感じているという高ゴ連の井上尚彦理事長は、「倉本会長はよく『学生としてやるべきことはしっかりやる』と環境作りの大切さを説かれます。選手がゴルフばかりで学業をおろそかにしては本末転倒ですから」と、380校5500人のジュニアゴルファーが学生の本分を果たせるよう指導に当たっている。
PGA運営の大会に高ゴ連の選手が出場し、名門・太平洋クラブのコースで切磋琢磨(せっさたくま)する。日本のゴルフ界を代表する3団体による新たな試みは、世界を舞台に戦える「心と技」を兼ね備えた選手を育て上げる。
団体戦は関西地区が24打差の圧倒V
団体戦を制したのは関西地区。通算26アンダーとし、2位の中国地区に24打差をつけた。練習ラウンドや初日の後、全員で行った作戦会議のおかげで圧勝。男子主将の砂川公佑(兵庫・滝川二高3年)は「いつもはライバルの選手たちと一緒に戦えたことがとても楽しかった」と新しい形の団体戦を満喫。女子主将の松原は「記念すべき第1回大会に私たち関西の名前が残せたことを誇りに思います」と胸を張った。
個人戦は岩田と久常が優勝を分け合う
個人戦男子の部は、岩田大河(大阪学院大高2年)と久常涼(岡山・津山東中2年)が通算5アンダーで優勝を分け合った。「毎日5キロ走ったおかげで疲れなくなった」というスタミナが武器の岩田と、「飛距離なら高校生にも負けない」という280ヤードの飛ばし屋・久常はプレーオフを行ったが、2ホール目途中で雷雲接近のため中止となった。
女子の部は、松原由美(大阪学院大高3年)が精度の高いアイアンショットを武器に通算6アンダーで優勝。「夢である東京五輪に一歩一歩近づいていきたい」。団体との2冠を自信にさらなる飛躍を誓った。
なお、個人戦優勝者は来年台湾で開催予定の「2017仰徳台日友好盃」への出場権が与えられた。