◆女子プロゴルフツアー 富士通レディース最終日(16日、千葉・東急セブンハンドレッドC西C、6635ヤード=パー72)
3位から出たプロ4年目の松森彩夏(22)=スターツ=が、5バーディー、1ボギーの68で回り、通算12アンダーで悲願の初優勝を飾った。股下80センチの美脚選手は、将来の米ツアー挑戦と2020年東京五輪出場を目標に掲げた。首位で出た笠りつ子(28)=京セラ=は、松森と1打差で迎えた最終18番でトリプルボギーをたたき、8アンダー2位。同じく首位で出た堀琴音(20)=東芝=は7アンダー3位で初優勝に届かなかった。
将来の米ツアー挑戦へ、松森が股下80センチの美脚で大きな一歩を踏み出した。ウィニングパットを決めると右手に持ったボールを小さく掲げた。「最後のパットまで緊張していたが、カップインしたときは高揚した」。こみ上げる涙を指でぬぐいながら、大歓声に初々しい笑顔で応えた。
11番のボギーで一度は笠に追いつかれたが、12番のバーディーで2人を突き放した。「12番がキーになった。落ち着いてティーショットを真ん中に打って、バーディーが取れたのが大きい」と勝因を述べた。
昨年は4月のフジサンケイレディス、9月のマンシングウェアレディース東海クラシックで、優勝争いをしながら1打差の2位に終わった。母・亜規子さん(46)は「フジサンケイのときは帰りの車で号泣していたが、その後に変わった。努力していたので『優勝できる』と確信があったと思う」と打ち明けた。松森も「あの時は最後の最後に自分を信じられず弱気になった。技術面で克服しようと、パターとアプローチを練習した。やってきたことは間違ってなかった」と努力の日々をかみしめた。
今季27試合中11試合で、09年賞金女王・横峯さくらの専属キャディーを昨年まで務めたニュージーランド出身のジョン・ベネット氏(44)がバッグを担いだ。同氏からは繰り返し「ペイシェント(我慢)ね!」と言われ続けたが「その言葉で助かったところがたくさんあった。本当に頼りにしている」と感謝した。
将来の米ツアー挑戦も、コンビを組んだ理由のひとつだ。「憧れの舞台。力を蓄えてなるべく早く行きたい」と英語も勉強中。26歳で迎える20年東京五輪へ向けても「(会場の)霞ケ関CCは日本ジュニアでも思い入れのあるコースなので、頑張って目指したい」と視線を向けた。すらりと伸びた美脚で、世界への階段を駆け上がる。(勝田 成紀)
◆森彩夏(まつもり・あやか)アラカルト
★生まれ 1994年5月19日、東京・世田谷区生まれ。22歳。
★ゴルフ歴 4歳で祖父の堤亘正さんに教わり始める。小学5年で江連忠ゴルフアカデミーに入門。神奈川・日大高を経て、13年にプロテスト合格。賞金ランクは14年111位、15年40位、16年16位(16日現在)。
★スポーツ歴 4歳でゴルフと同時に水泳も始める。小学生のときには、陸上短距離で兵庫・西宮市の大会で2位になったことも。
★1日5食 170センチ、55キロのスレンダー美女は「1日5食」で増量にも取り組んだ。昨季は終盤に体重が減り調子を崩したため、オフには就寝前にも母特製の鶏肉団子スープを飲んでたんぱく質を摂取。「もう少し増やしたい。60キロぐらいがベストかな」
★家族 両親とプロゴルファーの妹・杏佳(きょうか、21)。杏佳は15、16日、下部のステップ・アップ・ツアー「うどん県レディース」に出場して11位。