ゴルフ全国高校選手権、全日制と通信制大会分離も…優勝の権威が半減?


アマとして今年の日本女子オープンを制した畑岡

アマとして今年の日本女子オープンを制した畑岡

 今月の日本女子オープンで初優勝した畑岡奈紗(ルネサンス高)らアマチュア勢の活躍が目立つ中、毎年春と夏に開催されているゴルフの全国高校選手権が、全日制大会と通信制大会への分離を検討していることが17日、分かった。

 大会を主催する日本高等学校ゴルフ連盟(高ゴ連)は15日に意見交換会を開き、通信制高校のゴルフ部顧問に「カリキュラムの違う全日制と通信制の生徒が同じ条件で競い合うのは平等ではなく、好ましくない」と通達した。分離開催になった場合は同じ会場で開催しながら成績を別々に争う方式が濃厚で、早ければ来春から実施する可能性もある。

 近年は通信制高校を卒業してトッププロになる選手が増え、畑岡のほか金田久美子(クラーク記念国際高)、藤田光里(飛鳥未来高)らが活躍。高ゴ連の理事は全日制のゴルフ部顧問だけで構成され、通信制躍進への危機感が分離検討につながったようだ。

 ある通信制ゴルフ部の指導者は「通信制には経済的な理由で働きながらゴルフを続けている生徒もいる。全日制の生徒と争えなくなれば全体のレベルも下がってしまいます」と話した。1957年から始まり、歴代優勝者には丸山茂樹、松山英樹、横峯さくら、宮里藍らが名を連ねる伝統の大会が転換期を迎えている。

 分離開催問題で最も影響を受けるのは、ゴルフ部に在籍している生徒だ。全国高校選手権は「緑の甲子園」と呼ばれ、高校日本一を決める晴れ舞台。全日制と通信制に分離された場合は、同じ条件の中で優勝者が2人存在してしまう。優勝の権威が半減することは誰にとっても好ましくない。

 学校の近隣にゴルフ場が少ない首都圏の全日制高校では、週末ごとに片道3時間以上も移動して合宿を行うことが多い。時間的、金銭的な負担が大きいことから、安価な平日に練習ラウンドができる通信制を選択する生徒も増えている。高ゴ連は分離開催を性急に進めるのではなく、当事者である生徒や関係者の声にも耳を傾けて、慎重な選択をして欲しい。(運動デスク・岩崎敦)

最新のカテゴリー記事