◆男子プロゴルフツアー三井住友VISA太平洋マスターズ第3日(12日、静岡・太平洋C御殿場C、7246ヤード=パー72)
単独首位で出た世界ランク7位の松山英樹(24)=LEXUS=は7バーディー、ボギーなしの65をマークした。通算20アンダーに伸ばして2位に6打差をつけ、自身初の初日から首位を走っての完全優勝と、日本男子初の米日ツアー2戦連続優勝に王手をかけた。天気も味方につけて、記録的圧勝での日本ツアー通算8勝目に挑む。韓国の宋永漢(25)=新韓銀行=が14アンダーの2位。
秋晴れの下の富士山同様、5年ぶり2度目の大会制覇への道も、松山の目にはっきりと映った。最終18番。グリーン左奥ラフから60センチに寄せ、バーディー締め。通算20アンダーの文字が電光掲示板にともった。「今日中に20アンダーまで行きたいと思っていたので、良かったです。調子は良くないのでパープレーでいいかな、とも思いましたけど」と会見場で淡々と語った。
「万全ではない」という左手首に黒いテーピングをしてプレー。晴れて気温が上がったのも味方した。第2Rに折れ曲がった7アイアンは、ダンロップスポーツ関係者が新しいシャフトに変更。この日朝の練習場から松山の手元へ戻り、最も大事な場面で活躍した。
6番パー5だ。ドライバーで右林へ。木の根元からの第2打は5アイアンで木と木の間を抜いてラフへ。残り213ヤードから、7アイアンでの第3打をグリーン左バンカーへ運んだ。4メートルに寄せてパーパットを沈めると、右拳を突き出した。「大きかったです」と後続にスキを与えなかった。
3日間合計1イーグル、20バーディーの猛攻に、今大会のピン位置を決めるコースセッティングアドバイザーの田島創志氏(40)もお手上げだ。「今、世界一の選手ですからね。雨でグリーンが軟らかいので、彼の高い弾道のショットなら止められてしまう」と苦笑い。この日、松山は最少タイの25パット。田島氏は「(直前の)米ツアー2戦はともに重く遅いグリーン。例年よりも速さが出ていなくて適応しやすいのでは」と雨の影響でツアー屈指の高速グリーンの速さが出ていないことも要因に挙げた。
04年のダレン・クラーク(英国)の大会最少ストローク(22アンダー)更新への期待は大きい。「明日は伸ばすことだけを考えてやりたい」。安定感抜群のゴルフで通算28アンダーのツアー最多アンダーパー記録更新の可能性まで膨らむ。(榎本 友一)