◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス最終日(20日、愛媛・エリエールGC=6474ヤード、パー72)
韓国のイ・ボミ(28)=延田グループ=が、1988年のツアー制施行後5人目となる2年連続賞金女王に輝いた。67で回り通算9アンダー26位。賞金ランク2位の申ジエが36位、同3位の笠りつ子が26位に終わったため、1試合を残してボミの女王が決まった。68で回った台湾のテレサ・ルー(29)=太陽生命=が、24アンダーで4日間大会の最少ストローク記録を更新。通算12勝目を挙げた。
色づく紅葉の中、ボミに実りの秋が訪れた。インから出た最終9番パー5。4メートルのバーディーパットを沈めると、オレンジ色の帽子をかぶった熱烈なファンから喝采を浴びた。流ちょうな日本語で「今日はいいプレーができました。本当にうれしい。でも来年がプレッシャー。目標をどうしたらいいかな」とほほ笑んだ。涙の初女王だった昨年と違い、どこまでも笑顔だった。
昨季は32戦で7勝。男女通じて国内最高の2億3049万7057円を稼いだ。勝って当然と周囲の目が変化し「ゴルフを休みたかった。今年ずっと。争うのがしんどかった」と明かした。今季は27戦で5勝。リオ五輪の韓国代表を目指し、世界ランクを上げるため春には米ツアーや海外メジャーにも参戦した。国内も開幕から12戦連続トップ10入りなど、ツアー記録を次々と塗り替えた。
だが夏場以降、蓄積された疲労に悩まされた。8月下旬からは自己最長の8週連続出場に挑んだが4、5、6週目は2ケタ順位が続いた。7週目の日本女子オープンは「体が動かない…」と第1ラウンド後に棄権。連続予選通過も85試合で止まり「来年は日程を考えます」と反省した。
安定感をもたらしたのはアプローチの進化だ。今年は球を置く位置を体の中央から右足の前に変え、手前から転がす練習を徹底。リカバリー率は7ポイント上がって73・45%で1位に。13年から専属契約する清水重憲キャディー(42)は「去年よりも優勝は少ないけど上位に来る確率は上がった。簡単にボギーを打たなくなったのが大きいです」と振り返った。普段の練習ラウンドも優勝争いでの最終日バックナインを想定し、ほとんどを午後に行った。
21歳のときに「28歳には(ゴルフを)終わりたい」と思っていたが、日本での幸せな生活が考えを変えた。「今28歳で絶好調。私はまだ結婚したくない。(昨年)亡くなった父のことが大きくて。まだ家族のためにゴルフですね」。今の恋人はゴルフ。来季は、88年のツアー制施行後では不動裕理(00~05年)以来2人目となる3年連続女王の座に挑む。(榎本 友一)