宮里藍、国内最後?に涙「感謝の気持ちです」…12日に渡米し、米ツアー転戦へ


表彰式を終え、優勝したキム・ハヌル(左)と目に涙を浮かべ抱き合う宮里藍(カメラ・渡辺 了文)

表彰式を終え、優勝したキム・ハヌル(左)と目に涙を浮かべ抱き合う宮里藍(カメラ・渡辺 了文)

 ◆女子プロゴルフツアー サントリーレディス最終日(11日、兵庫・六甲国際CC=6538ヤード、パー72)

 今季限りでの引退を発表した宮里藍(31)=サントリー=は71で回って通算2アンダー26位で終えた。今大会が国内最終戦となる可能性もあり、ラウンド終了後は合計4回、涙があふれた。合計で大会史上最多の観衆となる3万4750人から大声援を受け続けた4日間。「プロ人生としては、これ以上ない最高の思いを経験した。(涙は)感謝の気持ちです」と涙をぬぐった。

 あふれる熱い思いを、抑えることなどできなかった。藍が泣いた。最終18番。4メートルのパーパットを沈めて同組の成田美寿々と抱き合うと、自然と涙がこぼれた。割れんばかりの拍手を浴びると、9132人の大観衆へ合計4回、頭を下げた。「たくさんの方が会場に足を運んで下さって、すごくうれしかった」。大きな丸い目は真っ赤だった。

 ラウンド後の中継局インタビュー、その後の記者会見でも涙をぬぐった。「朝から(感情的になって)やばかったです。12番で泣きそうになった。気持ちの浮き沈みが激しい1日だった」と正直に胸の内を明かした。閉会式のあいさつでは「私にとって一生思い出に残る1週間でした…」。観衆の前で感極まって、何度も言葉を詰まらせた。

 優勝争いには加われなかったが、見せ場を何度もつくった。10番は花道から残り25ヤードをチップインバーディー。12番パー5では3打目をバンカーへ。パーセーブも難しい状況から、残り12ヤードの4打目をカップに沈めた。155センチで海外勢にパワーで劣っても、米通算9勝を挙げることができたのは、寄せの技術を磨いたから。自慢の小技を存分に披露し「私らしい内容だったなと思います」と胸を張った。

 藍らしく、誠意を示し続けた1日だった。10番でチップインしたボールは、近くで見守っていた少年にプレゼント。ラウンド後、クラブハウスに戻って関係者に感謝の気持ちを伝えると、食堂のスタッフにまで「大会中はありがとうございました。ごちそうさまでした」と頭を下げた。警備担当者には直筆のサインボールを手渡した。疲れの色を見せることもなく、子供たちのために約20分、笑顔でサインペンを走らせた。

 期待と重圧。感傷的になる自分を必死に抑え込んで戦った激動の4日間が終わった。ホステスプロとしても責任は果たしたが、満足はできない。「結果でみんなに喜んでもらえなかった。優勝したかった」と唇をかんだ。12日に渡米し、今月中旬から9月中旬まで8試合、米ツアーを転戦する予定。「シーズンは終わってない。結果で最高の恩返しができたら」。日本で受け取った大声援を力に、節目の米通算10勝目をつかみ取る。(高橋 宏磁)

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