松山英樹、自己最少、ウッズのコース記録に並ぶ61で逆転V!全米プロに弾み


18番、バーディーパットを沈め優勝を決めた松山英樹。力強いガッツポーズで米ツアー5勝目を喜んだ(ロイター)

 ◆米男子プロゴルフツアー世界選手権シリーズブリヂストン招待 最終日(6日、米オハイオ州ファイアストーンCC、7400ヤード=パー70)

 完全無欠の圧勝劇だ! 2打差4位から出た松山英樹(25)=LEXUS=が1イーグル、7バーディー、ボギーなしで13年のプロ転向後、日米通じて自己最少スコアとなる61をマーク。通算16アンダーで2位に5打差をつけて逆転優勝を飾った。世界選手権シリーズは昨年10月のHSBCチャンピオンズ以来2勝目。米ツアー100戦目で日本人最多5勝目を挙げ、賞金166万ドル(約1億8260万円)を獲得した。新パター投入後即優勝。課題だったグリーン上に自信をつかみ、10日からの今季メジャー最終戦、全米プロ(ノースカロライナ州クウェイルホローC)で日本男子初のメジャー制覇に挑む。

 節目の試合で、幼少時からのあこがれの人に並んだ。終盤3ホール。松山は優勝よりも、コースレコードを見据えて全力を振り絞った。ツアー最長667ヤードの16番。スピンをかけた第3打をピン手前1メートルにつけ、17番では2メートル半、18番で2メートルを沈め圧巻の3連続バーディー締め。全盛期のタイガー・ウッズ(米国)をほうふつさせる猛チャージで驚異の61。「こんなに素晴らしいプレーができると思わなかった。最後まで信じられなかった」と、2位に5打差をつける鮮やかな逆転劇に目を丸くした。

 アマで初参戦した11年マスターズから100戦目。日米で1度ずつ記録した63を更新するプロ転向後、自己最少の61をマークした。メジャー14勝のウッズが4年前、松山の目前で出した大会コース記録に並んだ。「完璧なゴルフをしても勝てないと思った。練習して、あのゴルフに近づくようにする」と世界一へのもの差しとして練習に励んできた。4年間の経験と努力を積み重ね「力がついて、そういうプレーができてとてもうれしい」。同じコースで成長を実感し、喜びをかみしめた。

 スタート前。首をかしげるシーンが目立つなど状態は「最悪」だった。だが、2番で米ツアー公式サイトの「ショット・オブ・ザ・デー」に選ばれたチップインイーグルを奪うと「波に乗れた」。6番で4メートルを決めて単独トップに立つと、今週からプロ転向前から使うピン型に替えて投入したマレット型のパターが火を噴いた。直進性が高く、最終日は25パット。4日間の平均パット数は全体8位の1・648。好スコアの原動力となった新兵器に「要所でいいパットが入ってくれているので、そこは大きい」と全米プロに向けて大きな手応えを口にした。

 得意のアイアンショットもさえ渡った。この日、グリーンを外したのは2ホールだけ。4日間のパーオン率は75%で堂々の1位。計23バーディーも全体1位。グリーンエッジから30ヤード以内のアプローチも5・824で全体1位だった。

 距離が長く、狭いフェアウェーに小さなグリーン。ウッズ級の完全無欠のゴルフでツアー屈指の難コースでのハイレベルな“前哨戦”を制し、日本人初のメジャーVへ期待は膨らむばかりだ。世界ランクは3位のままだが、年間王者を競う積算ポイントは首位へ浮上。10日からは昨年メジャー自己最高の4位となった全米プロに挑む。優勝翌戦にメジャーに挑むのは14年の全米オープン以来。「コースとの相性はあまり良くないですけど、何人もの日本人が挑戦して取れていないものを僕が取れるように頑張りたい」と松山。最大の課題とされてきたパットで新境地を切り開き、かつてない自信を胸に世界の頂点に挑む。

 ◆全米プロのコース クウェイルホロー・クラブは米南東部ノースカロライナ州シャーロットのアップタウンから約10キロ、今回がメジャー初開催。7600ヤード、パー71。左右に林があるホールが多い難コース。池や小川が絡む16、17、18番の最終3ホールは、刑務所を舞台にした映画にちなんで「グリーンマイル」と呼ばれる。昨年まで米ツアーのウェルズ・ファーゴ選手権が開催され、松山は14年38位、15年20位、16年11位。

 ◆世界選手権シリーズ 男子主要ツアー(米、欧州、日本、豪州、南アフリカなど)による国際ゴルフツアー連盟が1999年に創設。出場は世界ランクなどで決まり、通常のツアー大会より限定される。賞金はメジャーに近い設定。今季はHSBCチャンピオンズ(中国・上海)、メキシコ選手権(メキシコ市)、世界マッチプレー選手権(米国)、ブリヂストン招待が開催。00~06年は国・地域別対抗戦W杯も含まれ、02年大会で丸山茂樹と伊澤利光が組んだ日本が優勝。

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