イ・ボミ、9か月ぶりV「本当にうれしい」女王完全復活


ファンと笑顔で記念撮影に納まるイ・ボミ

ファンと笑顔で記念撮影に納まるイ・ボミ

 ◆女子プロゴルフツアー CATレディース 最終日(20日、神奈川・大箱根CC=6704ヤード、パー73)

 首位でスタートした2年連続賞金女王のイ・ボミ(29)=延田グループ=が69で回って、通算12アンダーで今季初勝利。一時は「試合に出たくない」と漏らすほどのスランプを乗り越え、大会史上初の連覇。昨年11月の伊藤園レディス以来、ツアー通算21勝目を飾った。3打差2位に菊地絵理香(29)=オンワードホールディングス=、ペ・ヒギョン(24)=フリー=。

 最終18番。約2メートルのパーパットを沈めると、ボミは満面の笑みで声援に応えた。今季18試合目で、待ちに待った初優勝。「本当にうれしいです」。表彰式を終えると、日本女子プロゴルフ協会の樋口久子相談役(前会長)と抱き合って喜んだ。

 女王らしい、強い勝ち方だった。最終組で一緒に回った大山が1番から3連続バーディー。一時は2打差をつけられた。しかし「目標は昨年の自分の優勝スコア(9アンダー)を超えること。焦りはなかった」。6番で約2メートルを沈め首位に追いつくと、9番まで4連続バーディー。正確なショットでねじ伏せた。

 3年連続賞金女王を期待された今季。「ずっと上を目指すのはしんどい」と“燃え尽き症候群”で悩んだ。開幕戦こそ3位に入るも、深刻なスランプに陥った。5月のリゾートトラストレディスは最終日に76と崩れ40位。韓国に帰国するため空港へと向かう車中で「もう試合に出たくない」と号泣した。清水重憲キャディー(43)は「すごくつらそうだった。日本に帰ってこないんじゃないかと思った」と振り返った。

 6月に来日後、同キャディーは「ここからはい上がれば、もっと強くなれる」と言葉をかけた。試行錯誤を繰り返す中で、樋口氏の言葉が光になった。不調が続くと、スイングの細かい部分だけが気になった。前々週、前週とプロアマ戦で樋口氏と一緒に回った際、「右に体重を乗せて体を回して、左に乗せればいい。シンプル・イズ・ベストよ」と助言された。この一言で「吹っ切れた」。自信を取り戻した女王に怖いものなどなかった。

 21日が29歳の誕生日。28歳最後の試合で今季初優勝を飾り、賞金ランクは16位に浮上した。1位のキム・ハヌルとは約6364万円差。「一試合一試合、頑張りたい」。完全復活を遂げたボミなら、追いつけない差ではない。(高橋 宏磁)

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