藍、吉兆スタート68「よくパット決まった」


 ◆米女子プロゴルフツアー今季メジャー最終戦エビアン選手権第2日(15日、フランス・エビアンリゾートGC=6479ヤード、パー71)

 暴風雨で競技無効となった仕切り直しの第1ラウンドが行われた。今大会で現役を引退する、メジャー昇格前の09、11年大会覇者の宮里藍(32)=サントリー=は5バーディー、2ボギーの3アンダー、68と好発進した。持ち味のパットを武器に、メジャー初日としては自身2番目に並ぶ好スコア。メジャー通算は53戦目で岡本綾子の52戦を更新し、男女を通じて日本人最多となった。

 照りつける日差しが心地いい。前日の悪天候がうそのような青空の下、藍が白い歯を輝かせた。「チャンスが多くパットも決まった。一日を通してすごく良かった」。メジャー昇格後、今大会の自己最高に並ぶスコア「68」で仕切り直しの好発進を決めた。

 第1日は台風並みの暴風雨に襲われ、藍が7ホール目のプレー途中に一時中断。約4時間の中断の末、主催者は競技の無効を決定。4日間が通例のメジャーでは異例の54ホール(予選2日間、決勝1日)に変更した。全員のスコアが帳消しになり、6ホールを終えて3オーバーと出遅れた藍には“恵みの雨”となった。

 天気と同様、プレーも一変した。「午後8時半に寝ました」。十分に休養を取って臨み、出だしの10番から観衆を沸かせた。ピンまで残り12ヤードをチップイン。「バーディーで気持ちに余裕を持ってスタートできた」。11番は長いパットを決め連続バーディー。パターのグリップを数センチ短く持って精度を高め、難グリーンを攻略した。

 ホールアウトした時点で首位と5打差。ラウンド後は欧米メディアが取材を望むなど海外の関心も高い。米ニューヨーク・タイムズ紙は14日付の米国版などで藍の引退を特集した。欧州版は3ページを割いて紹介。「ラウンドを終えるたび、それが練習でも彼女は多くの質問に答えないといけなかった。まさに国のために戦っていた」という米ツアー通算31勝のジュリ・インクスター(57)=米国=の談話などを交え、実績や人柄を伝えた。

 関係者によると同紙が日本人選手の引退を特集するのは異例。しかも5月末の引退表明を受け、6月に早々と“引退試合”に合わせた掲載を決めていたという。藍はインタビューに答えており、09年大会(当時エビアンマスターズ)での米ツアー初Vや日本人初の世界1位など思い出を5つ挙げている。

 足かけ14年。155センチ、52キロの小さな体で日本人最多の海外メジャー53戦出場を果たした。「自分のゴルフがしっかりできているので、このままいきたい」。米ツアー初優勝の思い出の場所。悲願のメジャー初制覇で、最後に最も大きなタイトルを手にしたい。

 ◆同組クリーマー棄権

 藍が最終戦の同組メンバーに選んだポーラ・クリーマー(31)=米国=は14番の第1打後、左手首を痛めてプレーを中断。医療スタッフを呼んで約15分マッサージを受けたが、4番の第1打後に棄権した。藍は何度も熱い抱擁をかわし「けがが心配。彼女とのいい思い出はたくさんあるので」と思いやった。クリーマーは藍のプレーを見届けるため、16日もコースを訪れる予定だ。

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