◆男子プロゴルフツアー ANAオープン第2日(15日、北海道・札幌GC輪厚C)
2位で出た今平周吾(24)=レオパレス・リゾート・グアム=が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算9アンダーで単独首位に浮上した。北朝鮮の弾道ミサイル発射で、午前7時にJアラートが鳴り響いて競技が40分間の中断。男女国内ツアー初の非常事態に動揺したが、ツアー初優勝を飾った5月の関西オープン以来となる通算2勝目を視界に捉えた。優勝賞金2200万円を手に入れ、賞金ランク3位からトップ浮上を目指す。
午前7時、数十台のスマホが一斉に騒ぎ出した。緊急速報で早朝の穏やかなゴルフ場が一変。練習場にいた選手はそれぞれ事態を確認し、避難指示を受けてクラブハウスに向かった。ショット練習場にいた今平もその一人だ。「ビックリしました。だって、落ちたらやばいじゃないですか。死にますよね」。1階では関係者やギャラリーがすし詰めとなり、7時40分まで競技中断。普段はあまり感情を表に出さないポーカーフェースの24歳も、珍しく動揺を隠せなかった。
前回Jアラートが鳴った8月29日(北海道上空を通過)の男子ツアーは、フジサンケイクラシック(山梨・富士桜CC)前の練習日。初体験の慌ただしい空気にも、今平は着実に伸ばした。5、9、12番は寄せワンでバーディー。8番は7メートル、17番はカラーからパターでねじ込んで伸ばし、9アンダーで単独首位に立った。「(再開から)スタートまで40分くらいあったので影響はない」。平常心を取り戻し、4か月ぶりのツアー通算2勝目に視線を向けた。
今季は優勝を含め、5位以内がツアー最多6回。好調の要因は“野菜生活”だ。昨年9月以降の後半戦は貧血でふらつくことが多く、冷え性ぎみでグリップを握る手先の感覚にも狂いが生じた。病院の診断は異常なし。「焼き肉でも肉しか食べなかった」という偏食を見直し、生野菜やコンビニの野菜ジュースを取り入れた。トマトが好物。「やっぱり健康になってスッキリしている」。バランスの取れた食事で安定した成績を残している。
現在、賞金ランクトップで今週は韓国ツアーに出場中のC・キムとは約2100万円差。同2位の宮里優作の成績次第だが、今平が優勝なら1位浮上の可能性もある。「いい感じだけど、まだ先は長いっす」。昨年4位と好相性のコース。初の賞金王へ、中押しの1勝を奪う。(浜田 洋平)